電子楽器スコアの概念を覆すサウンドと迫力のアイデアで聴かせる異色の名音源。

『プリズン』(1987)
サウンドトラック

音楽 リチャード・バンド&クリストファー・L・ストーン
監督 レニー・ハーリン
主演 ヴィゴ・モーテンセン、レイン・スミス

再開した刑務所には、冤罪で処刑された男の怨念がとりついており、その力は、囚人たちを襲う・・・本作でのけれんみたっぷりの演出により、後に『ダイ・ハード2』も任される、大味演出の異才レニー・ハーリンの出世きっかけ作にして、初日本紹介作。音楽は、『死霊のしたたり』『フロム・ビヨンド』など絶頂時のリチャード・バンドが友人クリス・ストーンの助力を得て構築。驚きは、聴く限りでは、オーケストラ・オンリーか、オーケストラ+シンセか、と聴こえるハードボイルドでメリハリありまくりのホットなサウンドが、全て電子楽器のみの演奏である、ということである。ホラーでありながら、その要素を排して、ハード・アクション(それは刑事アクション、戦争モノにそのまま使えそうなぐらいに)のテイストに徹底的に寄ったタッチという、スコアそのものも面白い。さまざまな意味で画期的なサントラ。 (C)馬場敏裕