| フォーマット | ムック |
| 発売日 | 2024年04月25日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | NHK出版 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784142231638 |
| ページ数 | 116 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
「世界最高峰の大作」登頂に挑む
20世紀ドイツ文学の最高傑作『魔の山』。作家トーマス・マンをノーベル文学賞に導いたとも言われる本作には、「生と死」「啓蒙とエロス」「秩序と混沌」「合理と非合理」がうずまく現実を前に、無垢な青年ハンス・カストロプが葛藤する姿が描かれている。「魔の山」とはいったい何を象徴しているのか。価値観が混沌とする世界で、人はどのように生きていけばいいのか。長大かつ難解な書として有名な世界文学を、余すところなく読み解く!

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ト―マス・マンの作品に初めて触れたのは、映画『ヴェニスに死す』であった。ヴィスコンティ映画の信奉者である私は、ト―マス・マンよりもヴィスコンティの作品を識るために鑑賞した。そのため、話の内容は今一つ共感出来ないままで、ヴィスコンティの審美の映像美と雰囲気を味わうに留まっていて、原作者ト―マス・マンの存在感は極めて薄かった。初見から7年経った昨年、ようやく、あの美少年は冥界への案内者ヘルメスの化身として描かれたことを知り、中々の小説と気づいた。それ以前に、故渡辺一夫氏による翻訳と代表的エッセイと中野重治氏との往復書簡を一冊にまとめた『五つの証言』(中公文庫)を見つけて、読んでみたいと思っていた。日本のノ―ベル文学賞受賞者故大江健三郎氏の恩師は、先駆けて、ノ―ベル文学賞受賞者ト―マス・マンの翻訳を担っていたのである。
それ故、本テキストを勢いよく買い求めて、テレビ放映と共に読む。覚悟はしていたが、読み応えが十分すぎて消化不良、ト―マス・マンの梗概を知ることに主眼を切り替えた。マンとの書簡集があるヘッセを卒論に選んだ独文科出身の夫が「興味がわかない」を毎回連発し、マンは、詩作はしているが、詩集が出版されていないことに気づく。小説のほか、評論の方が比重を占めている。そして、詩情よりも音楽が同伴する作家だと感じた。ワ―グナーや、『魔の山』に登場する「魔法のアルバム」と主人公ハンスが戦場で突撃する時に口ずさむシューベルト〈冬の旅 第5曲 菩提樹〉。映画にて、もう一つの主役だった〈アダ―ジェット〉の作曲家マ―ラ―とは交際があったとあるし、子供も6子のうち2子が音楽家とある。〈菩提樹〉を聴きながら、抜粋“だが、歌一番の申し子は、…かえって英雄となるのだ―”(86頁)を読むと、時代精神や時代色に何となく接することが叶う。
やっと、読書準備として、ト―マス・マンとお近づきになれた気がする。
ト―マス・マンPaul Thomas Mannの誕生日(1875年6月6日)に。