| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2024年03月18日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 南江堂 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784524201914 |
| ページ数 | 484 |
| 判型 | 新書 |
構成数 : 1枚
【書評】
「ゴールデンハンドブックの名にふさわしい,臨床現場で即役に立つ名著」
循環器内科学の進歩は目覚ましく,若手医師にとっては学ぶべきことが多くある.分厚い教科書やインターネットでさまざまな情報を入手できるが,患者を目の前にしたときに安心して診療の参考にできるハンドブックが熱望されている.その点において本書は最適であり,循環器内科医が知っておくべき基本的知識から,病気の診断および具体的な治療法に至るまで,一冊ですべて網羅されている.2003年に初版が刊行され,今回が改訂第5版になるが,これまで約20年以上にわたって全国の若手循環器内科医に読み継がれてきた名著である.
本書が秀逸なのは,通常のハンドブックにありがちな文字の羅列ではなく,読者の理解を最大限助けるために,きれいなイラストや実際の写真などが多用されている点である.これにより,実際の診療現場を非常にイメージしやすくなり,読み物としても飽きない構成となっている.また,最新のガイドラインや大規模臨床試験の結果を適宜引用することで,説得力の高い内容となっており,最新の正しい知識を身につけることができる.さらに,監修者・執筆者である東海大学循環器内科の先生方が日常臨床で得た知識やTipsなどが余すことなく記載されている.東海大学版手術前心疾患リスク評価などは大変参考になり,他施設でもすぐに使用できるよう丁寧に記載されている.まさに読者に寄り添い,先輩医師が常に側にいるような安心感を与えてくれる本である.
本書は,単に基本的な診療で使用する実用書というだけでなく,近年発展が著しい構造的心疾患に対するインターベンションである経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI),僧帽弁クリップ術,先天性心疾患に対するインターベンション,経皮的左心耳閉鎖デバイスや,Impella®をはじめとする補助循環治療など,最新の治療に関してもしっかりと記載されている.ここでも多くのイラストや写真を使ってわかりやすく説明されており,これらの治療を行っていない施設の医師でも内容を理解できるように配慮されている.また,最近では新規治療薬が続々と登場している心不全治療に関しては,SGLT2阻害薬を加えたFantastic Fourの記載に留まらず,ivabradineやvericiguatなどの新しい薬剤に関しても,臨床試験の結果と併せて詳しく解説している.さらに,興味深いのは薬剤の使い方に関して,単に用法・用量を記載するのではなく,たとえばカテコラミン系注射薬や抗不整脈薬については,薬剤の作用機序の違いなども詳細に解説されている点である.これはともすれば,あまり作用機序を考えることなく,ガイドラインどおりのオーダーをしていた医師にとって,患者の病態を考えて薬剤選択をするよいきっかけを与えてくれるのではないかと思う.何より病態や薬理作用をロジカルに理解することは,合理的な正しい治療に結びつく.このような貴重な機会を与えてくれる本書は,単なるハンドブックに留まらず,まさにゴールデンハンドブックの名にふさわしい名著といえる.
臨床雑誌内科134巻5号(2024年11月号)より転載
評者●家田真樹(慶應義塾大学医学部循環器内科 教授)
【改訂第5版 監修の序】
もう25年も前のことである.我々の診療科へrotateする研修医,循環器専門医を目指す専修医たちを指導する中で,彼,1...
研修医・循環器内科シニアレベル必携のハンドブック,待望の改訂第5版.循環器内科の日常診療において,知っておかなければならない病態と疾患およびその対処法,検査手技,治療手技,各種薬剤までを白衣のポケットに入るコンパクトサイズにまとめている.今版では,進歩した心不全の薬物療法や弁膜症におけるインターベンション治療を中心に,最新情報へアップデートの上,さらにパワーアップした内容とした.
【改訂第5版 監修の序】
もう25年も前のことである.我々の診療科へrotateする研修医,循環器専門医を目指す専修医たちを指導する中で,彼らがマスターすべき循環器内科学の基本と実技のあり方をまとめたのが,このハンドブック第1版であった.
循環器内科学の進歩は目覚ましい.改訂を重ね,この新しい第5版となった.進歩と変革に対応して最新情報を集約し,第一線の若い医師たちの循環器診療に役立つハンドブックである.
言うまでもなく,循環の概念を初めて見出し記載したのは16~17世紀の英国の医師William Harvey(1578-1657)である.以来この数百年間にtry and error,paradigm shiftを重ねて,発明と発見が循環器病学を進歩発展させた.経験に基づく医療experience based medicineは,証拠に基づく医療evidence based medicine(EBM)(1977年)へ変貌し,今日ではEBMに基づくguideline(GL)が数多く報告されている.近い将来,生成AIなどが臨床の場に投入され診療支援するとも予測される.医師はEBM,GLを参照し,目の前の個々の患者に寄り添い医師自身の総合的な判断に基づいてtailor-madeの診療をすることとなる.
治療法の発展は著しい.たとえば治療薬,一連のNOAC,ivabradine,SGLT2阻害薬,ARNI,vericiguatなどの登場である.A Grüntzig(1939-1985)のPTCA発表(1977年)は,診断法であった心臓カテーテル法を治療の技術とした.冠動脈インターベンションばかりでなく,TAVI,PTMC,MitraClipⓇ,ステントグラフト,不整脈アブレーション,ICDなど多岐にわたる.
そこで診療の場では,これまで以上に的確な診断を求められる.循環器疾患の診断は,history taking,physical examination,そしてEKGに始まる画像診断法,その他の臨床検査による.そこで判断するのは,病因(etiologic),解剖学的異常(anatomic),病態生理学的異常(physiologic)の三点である.自覚症状の重症度(functional capacity),客観的評価(objective assessment)を含める.
確実な診断が合理的な治療選択を生む.診断と治療は常に一体である.
2024年3月 半田俊之介

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