多くのアーティストからも絶賛されるブライトン出身のナターシャ・カーンことバット・フォー・ラッシェズの6枚目のアルバムがDeccaからリリース。・ラッシュ
この作品はナターシャの娘、デルフィへの頌歌となっており、ナターシャの第二の故郷であるLAで、Covid-19の大流行中に制作された母性への頌歌である。これは、ナターシャが娘のデルフィを地球側に産んだ時の音のアーカイヴ。
10曲の歌詩を織り交ぜて、ひっくり返ったように見える外の世界をナビゲートする一方で、ギリシャ神話に登場する未来の占い師にちなんで名づけられたデルフィを産むという、深く個人的で変容的な初期の瞬間を経験するという両極を記録している。この音楽はナターシャの聖域となり、スタジオへの盗みの旅から生まれた。各トラックは即興で作られ、数時間で完成され、「The Midwives Have Left(助産婦は去った)」から「Letter To My Daughter(娘への手紙)」を書き、「Waking up(目覚め)」まで、そして娘のお気に入りの曲「Home」のカヴァーまで、2年間にわたる彼女の日記のような供物が年代順に綴られている。
また本作はこれまでの作品と異なり、よりインストゥルメンタルの「Bat For Lashes」の世界に触れ、ナターシャが自信に満ちた作曲家であり、親密な風景を作り出す職人であることを示している。音楽はリスナーにより子宮のような、アンビエントな空間を作り出しているが、彼女の特徴であるドリーム・ポップのソングライティングが振動する余地を十分に残している。ナターシャはこのアルバムで、ブラッド・オーバーホーファー、メアリー・ラティモア、ジャック・ファルビーと仕事をしている。
発売・販売元 提供資料(2024/04/18)
ブライトン出身のシンガー・ソングライターによる6作目は、2020年に生まれた自身の娘に捧げたという一枚。彼女らしいシンセを多用した壮大な音楽性を持ちつつ、一方ではよりシリアスな感覚と包み込むような母性も感じさせ、これまでの作品群とは一線を画している。特にインスト曲が並ぶアルバム後半は神秘的かつ創造性に富んでおり、彼女にとって新境地と言えるだろう。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.488(2024年7月25日発行号)掲載)