| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2024年01月18日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 筑摩書房 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784480017901 |
| ページ数 | 224 |
| 判型 | 46 |
構成数 : 1枚
稀代の風刺文学『痴愚神礼讃』を世に送り、宗教改革の狂乱の時代に理性の普遍性と自由な精神を信じ続けた人文主義者エラスムスを描き出す渾身の傑作評伝。

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故高階秀爾先生の著作の愛読者。全ての本を読んでいないのが残念でならない。大変読みやすく、簡潔で明晰な文章にも関わらず、内容の充実と水準の高さは、やはり読み手にも素地を必要とするため、基礎知識不足のままでは、頁が進まないという状態になるからだった。それ故、当然、一冊ずつ購入しながら、読み揃えて行こうと決めていても、完読出来ないと、次の本に中々行けなかった。しかし、人物像を書いた著作は―『モ―ツァルトの肖像をめぐる15章』、『世紀末の美神』―容易に読み進めることが出来て、嬉しい驚きだった。そして、このエラスムスの伝記が刊行された。精神疲労が深い時は、中々、好きな本が読めないことがある。好きな本の殆んどが名著や専攻向けのこともあり、目が細かく目の詰まった、1文づつ咀嚼を必要とするばかりか、その本を読むための読書準備を必要とするものが多い。刊行直後に、すぐに購入したかったが、体調に不安を覚えて、控えていた。半年後に、今読むべきと思い立ち入手。
1章づつ読み、途中から、書棚にある殆んど読めずにいた『痴愚神礼讃』も併読した。ユマニストの著作は、そのジャンルの性格か、モンテ―ニュ『エセ―』同様、本人が語る声を聞くような感覚の中で読み進めると通読できる。それは、高階先生のように、読者と評伝人物を繋げることができる筆の力が寄与するのであって、いきなり名著を読み出しても、数頁で止まる経験則から、紹介となる本などを読んでから享受できる縁でもある。
ルターに比べて、名前は散見するが、今一つ知名度が低い印象と、何をした人なのか分かりにくいエラスムスという人物。息子と社会問題に巻き込まれた私には、名実共に優秀な人文主義者であっても、世間の普遍的な負の実情を潜るのだと共感する。
リヨン帯同時には、古都であり商都リヨンは、エラスムスがリヨン宿を称賛していたそのままであったことに感激したのだった。(『対話集』「宿屋について」、宮下志朗『本の都市リヨン』の引用部より)
デジデリウス・エラスムスDesiderius Erasmus Roterodamusの誕生日(1467年/1469年10月28日)に。