グランジやメタル等、様々なシーンやアーティストに影響を与えるカリスマ、メルヴィンズ。自らのレガシーを引き継ぎながらも、これまでで最も型破りで、最もキャッチーなニュー・アルバム『タランチュラ・ハート』をリリース。
Melvinsの最新作『Tarantula Heart』は、エキセントリックで非凡な作品によって賞賛されてきた彼らのレガシーを引き継ぎながら、これまでで最も型破りで、最もキャッチーで、想像力豊かな作品へと仕上がった。「『Tarantula Heart』へのアプローチの仕方は、他のどのMelvinsのアルバムとも違っていた。DaleとRoy Mayorga(Ministry)に来てもらって、Steven(McDonald)と僕と一緒にリフをプレイしてもらった。そして、そのセッションをもとに、どのパートが上手くいくかを考え、それに合うように新しい曲を書いたんだ。これは今までのやり方とは違う。普通は、レコーディングを始める前に曲を作っておくからね」とBuzz Osborneは説明する。「『Tarantula Heart』の大部分にはドラム・パートが2つある。Royは素晴らしいドラマーだ。まず、パターン的にどうするか話し合う。そして、リフをインプロヴァイズしたり、ドラム・フィルを交換したりするんだ」と長年のMelvinsのドラマー、Dale Croverは付け加える。実際、どこからともなく何かが生まれることはなかった。なので、Buzzは何時間もドラム・トラックと向き合い、ドラムの音に合わせて曲を書いていた。「セッションをもとに僕が作った曲をバンドの他のメンバーが聴いたとき、彼らは吹き飛ばされたよ。それは、彼らが今まで聴いたことのない、まるで突然に現れたかのような新曲だったからね」とBuzzは語る。Melvinsの長年のコラボレーターであるToshi Kasaiがレコーディング、ミキシング、共同プロデュースを手がけたこのアルバムには、We Are The Asteroidのギタリスト、Gary Chesterも参加。Garyはかつて伝説のバンド、Ed Hallのメンバーであったので、彼とMelvinsの歴史は、彼らがBoner Recordsに在籍していた頃に遡る。
発売・販売元 提供資料(2024/02/21)
19分超えのブラック・サバス風スラッジ・メタル・ナンバー"Pain Equals Funny"にいきなり度肝を抜かれるが、その驚きはたちまち歓びに変わる。結成から41年。USヘヴィー・ロックの権化、メルヴィンズはいまも健在だ!と。カート・コバーンに多大なる影響を与えたことからグランジの源流とも言われるが、トリッキーなリフを奏でながら、牧歌的なメロディーを朗々と歌い上げる"She's Got Weird Arms"を挟んでからの後半は、メタルのカタルシスもしっかりと味わわせる。ただし、ツイン・リードをハモらせてもフリーキーなトーンがテクニックを凌駕するところは、やはりこのバンドならでは。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.485(2024年4月25日発行号)掲載)