サントゥ=マティアス・ロウヴァリが手兵エーテボリ交響楽団と進めるシベリウスの交響曲チクルス第4弾は、全7曲の交響曲の中で最も難解と見られがちながら、傑作の呼び声もまた高い第4番です。シリーズのこれまでのアルバムで個性的でありつつも説得力のある解釈を聴かせ、作品の新しい魅力を知らしめてきたロウヴァリ。今回も終始暗い影が支配するこの作品から、彼ならではの際立って精緻なスコア整理と、細部まで行き届いたコントロールと表現力によって様々な側面を引き出し、その充実した内容をあぶり出すことに成功しています。併せて収録されたのは、30歳を目前にしたシベリウスがスウェーデンの詩人ヴィクトル・リュードベリの詩に基づいて書き上げた標題音楽「森の精」。20分を超える演奏時間を要する力作ながら、なぜか半世紀以上忘れられていたというこの作品をロウヴァリは素晴らしい躍動感と物語性で描き上げ、その完成度の高さを証明してみせました。そして最後は人気曲「悲しきワルツ」のメリハリのある引き締まった演奏で、余韻を残すラストの引きも見事。 (C)RS
JMD(2023/12/08)
ロウヴァリのシベリウス第4弾は、難曲第4番と若き日の隠れた傑作「森の精」、そして「悲しきワルツ」
サントゥ=マティアス・ロウヴァリが手兵エーテボリ交響楽団と進めるシベリウスの交響曲チクルス第4弾は、全7曲の交響曲の中で最も難解と見られがちながら、傑作の呼び声もまた高い第4番です。シリーズのこれまでのアルバムで個性的でありつつも説得力のある解釈を聴かせ、作品の新しい魅力を知らしめてきたロウヴァリ。今回も終始暗い影が支配するこの作品から、彼ならではの際立って精緻なスコア整理と、細部まで行き届いたコントロールと表現力によって様々な側面を引き出し、その充実した内容をあぶり出すことに成功しています。併せて収録されたのは、30歳を目前にしたシベリウスがスウェーデンの詩人ヴィクトル・リュードベリの詩に基づいて書き上げた標題音楽「森の精」。20分を超える演奏時間を要する力作ながら、なぜか半世紀以上忘れられていたというこの作品をロウヴァリは素晴らしい躍動感と物語性で描き上げ、その完成度の高さを証明してみせました。そして最後は人気曲「悲しきワルツ」のメリハリのある引き締まった演奏で、余韻を残すラストの引きも見事。
国内仕様盤日本語解説…神部智
ナクソス・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2023/12/06)
好評のロウヴァリのシベリウスだが、勢いでも何とかなってしまう名曲『交響曲第1番・2番』録音での評価だったので、「本当かな」とうがった見方をしてしまっていたが、最もシベリウスらしい渋い交響曲第4番でも細やかでクリスタルのように美しいサウンドで奏でていて説得力ある名演。第3楽章は静寂の中のチェロやフルートソロの良い緊張感を生み出し、第4楽章は繰り出される速い楽節の構成とその受け渡しがとても素晴らしく、目眩く場面転換を表現している。カップリングされた『森の精』は知名度は低いが『ポヒョラの娘』『エン・サガ』が好きな方にお薦め。指揮者のリズム感の良さが際立つ。
intoxicate (C)雨海秀和
タワーレコード(vol.168(2024年2月20日発行号)掲載)