デヴェンドラ・バンハート、4年振りとなる新作が完成。新たな領域へと足を踏み入れたメキシカン・サマーからは初、自身11枚目となるアルバム『フライング・ウィッグ』、リリース。
Devendra Banhartはニュー・アルバム『Flying Wig』を、Mexican Summerよりリリースする。自身11枚目のスタジオ・アルバムとなる同作は、Mexican Summerからは初のリリースで、2019年にリリースされ高く評価された『Ma』以来のフルレングスとなる。Banhartは『Flying Wig』で、ウェールズのミュージシャン/プロデューサー、Cate Le Bonと初めてコラボレーション。Banhartのソングライティングの才能はそのままに、プロダクションとアレンジは未知の領域に侵入し、シンセサイザーを多用した大胆なサウンドは、長年のファンにとって大きな驚きを与えるものとなった。
「このアルバムを一緒に作りたかったのは彼女だけなんだ。これまで僕が作ったことのないレコードを作ることを目指した。エレクトロニックでありながらオーガニックで温かみのある新しいサウンドを目指したんだ」とBanhartは語る。アルバムは、露の世は(This dewdrop world)/露の世ながら(Is a dewdrop world,)/さりながら(And yet, and yet…)、という小林一茶の詩にインスパイアされている。そこには、暗く儚い世界の中で「and yet...」と煌めくものを貫く一茶の精神が存在する。「絶望を感謝に、傷を許しに、悲しみを賛美に変えることなんだ」とBanhartは反芻する。
発売・販売元 提供資料(2023/09/04)
4年ぶり通算11枚目のアルバムはレーベルをメキシカン・サマーに移籍して初となる作品だ。プロデュースはウィルコの新作やディアハンターを手掛けたケイト・ル・ボンが担当している。デヴェンドラ自身が〈エレクトロニックでありながらオーガニックで温かみのある新しいサウンドをめざした〉と語っているように、これまでとは違うシンセサイザーを中心としたサウンドに驚き。彼のフォーキーなメロディーを損なうことなくスペイシーで壮大な世界観を作り上げており、感傷的な歌い方も含め、何かを悟ったような凄みすら感じさせる。どの過去作とも違う新境地のアルバムと言っていいだろう。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.478(2023年9月25日発行号)掲載)