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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2023年08月08日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 名古屋大学出版会 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784815811297 |
| ページ数 | 318 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
序 章 口述筆記する文学
1 口述筆記とはなにか
2 〈もう一人の書き手〉を問う
3 〈書かれた作品〉から〈書かれつつある現場〉へ
4 本書の構成と概要
第I部 ディスアビリティをめぐる交渉――口述筆記創作の現場から(1)
第1章 ペンを持てない男性作家
――谷崎潤一郎の場合
1 書くことのディスアビリティ
2 谷崎潤一郎と口述筆記
3 口述筆記のジェンダー・ポリティクス
4 リテラシーをめぐる評価と〈書かせる〉こと
5 署名と実像のはざまで
第2章 「書く機械」になること
――伊吹和子『われよりほかに』
1 筆記者・伊吹和子
2 書く行為の代行とジェンダー
3 「書く機械」になるという戦略
4 作家であること、作家になること
5 〈選別〉の論理
第II部 書くことの協働性とケア――口述筆記創作の現場から(2)
第3章 ケアとしての口述筆記
――筆記者たちの経験から考える
1 作家の労働空間とその編成
2 ケアのニーズへの応答――上林暁と德廣睦子
3 性役割の反転――三浦綾子と三浦光世
4 関係を編み直す――大庭みな子と大庭利雄
5 〈書く身体〉に伴走する
第4章 〈書かせる〉でもなく、〈書かされる〉でもなく
――武田泰淳『目まいのする散歩』
1 武田泰淳と武田百合子の評価
2 歩くことと書くこと
3 自律的な主体像を疑う
4 〈書かせる〉と〈書かされる〉のあいだ
5 他者性と依存性
第III部 言葉を媒介することとジェンダー――テクストのなかの口述筆記
第5章 〈媒体〉となる身体
――円地文子「二世の縁 拾遺」
1 〈媒体〉としての筆記者
2 女性筆記者の立場性
3 「戦争未亡人」の性
4 書記機械であることを裏切る身体
5 〈媒介/霊媒〉としての女
第6章 再演される言葉
――大江健三郎『みずから我が涙をぬぐいたまう日』『水死』
1 言葉の媒介者
2 批判者としての女性
3 自己批判の演劇
4 声の文字化と女たちの連帯
5 憑坐として語ること
第IV部 代行のポリティクス――口述筆記の向こうへ
第7章 創造性から逃れる
――多和田葉子「無精卵」
1 〈書く〉ことと〈書き写す〉こと
2 「無精卵」の読まれ方
3 創造性を欠いた書き手たち
4 単為生殖としての書くこと
5 強制的異性愛の綻び
6 暴力の痕跡を書き写す
7 〈書き写す〉ことの先へ
第8章 書きかえられる物語
――二つの「残虐記」をめぐって
1 二つの「残虐記」――谷崎潤一郎と桐野夏生
2 戦後空間のなかの「残虐記」
3 語り手は何を黙殺するのか
4 もう一つのクィアな欲望
5 「言葉」と「想像力」の物語
6 事件を語り直すこと
7 想像力の両義性
8 「傷」をめぐる攻防
終 章 ペンを持たない時代の口述筆記
1 書字の機械化と身体性
2 モチーフとしての口述筆記――現代の漫画を例に
3 交差するフレーム
注
あとがき
初出一覧
索引
谷崎潤一郎をはじめ、口述筆記を行った作家は実は多い。だが、ディスアビリティやケアが絡み合う空間で、筆記者、特に女性の役割は不可視化されてきた。大江健三郎、多和田葉子、桐野夏生らの作品をも取り上げ、書くことの代行に伴う葛藤とジェンダー・ポリティクスを鋭く分析した力作。

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