| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2001年11月30日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 学文社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784762010767 |
| ページ数 | 344 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
序 論
第1章 官僚制的統制システムの形成
序
第1節 同意の生産と官僚制的統制
1.統制における強制と同意 / 2.統制の3要素と統制の諸類型 / 3.内部労働市場
第2節 官僚制的統制の成立過程
1.統制システムの成立背景 / 2.批判 / 3.2つの成立経路
/ 4.統制システムヘの転換可能性
第3節 統制システムの歴史的性格
1.統制諸システムの位置 / 2.テイラー・システムとの関係 / 3.テイラリズムの影響力
/ 4.フォード・システムとの関係
結 語
注
第2章 官僚制的統制の構造
序
第1節 統制システムの基礎
1.規則の支配 / 2.ヒエラルキー的職務序列 / 3.分割統治戦略にもとづく人為的職務ランク
/ 4.統制システムのもとでの労働者の諸権利
第2節 統制システムの隠蔽性
1.統制関係の組織構造への「埋め込み」 / 2.支出労働量と賃金額との乖離
第3節 統制システムが労働者におよぼす影響
1.人格の変容 / 2.統制システムの全体性
結 語
注
第3章 労働者の抵抗と管理者の戦略
序
第1節 分析枠組み
1.フリードマンの問題関心 / 2.労働力商品の特殊性と2つの管理戦略
/ 3.戦略の矛盾と解決 / 4.企業間および国際的な中心一周辺関係
第2節 管理戦略
1.管理戦略の概念 / 2.段階認識 / 3.戦略の決定要因
第3節 階級闘争の把握と闘争の制度化
1.闘争のミクロ的概念 / 2.階級闘争の制度化 / 3.「労働力の価値」概念の改鋳
第4節 労働者の分断と中心―周辺パターン
1.労働者の分断 / 2.分断化論の問題点 / 3.中心―周辺パターンの形成
結 語
注
第4章 労働過程の政治的、イデオロギー的次元
序
第1節 労働過程と同意の形成
1.剰余価値の隠蔽と確保 / 2.労働過程とそのイデオロギー的、政治的次元
第2節 同意生産の基本メカニズム
1.ゲームとしての労働過程 / 2.ゲーム参加による同意の生産
/ 3.イデオロギーとしての同意
第3節 内部労働市場と「内部国家」
1.内部労働市場をつうじての同意の生産 / 2.「内部国家」と産業的市民の創造
/ 3.「内部国家」における同意の生産
第4節 統制とイデオロギー、および政治
1.意図せざる統制 / 2.意図的統制への転換可能性 / 3.労働過程の構造主義的把握
結 語
注
第5章 ラディカル・エコノミストの労働改革案
序
第1節 戦後体制の崩壊と労働者の権利擁護――リチャード・エドワーズ『労働における権利』
1.はじめに / 2.戦後の権利体制の崩壊と労働者の権利をめぐる対立
/ 3.労働者の権利とその実態 / 4.新たな権利体制の構築 / 5.評価
第2節 アメリカ経済の病理――デイヴィッド・ゴードン『分断されるアメリカ』
1.はじめに / 2.病理の診断と対策 / 3.評価
結 語
注
結 論
本書は、第2次大戦後の先進諸国の労働者が経営側に協調的な、
(すくなくとも反逆的でない)態度をとるにいたった理由を
労働者統制システムの観点から考えてみたい、という関心からできあがった。
この関心はつぎのような素朴な疑問に発するものだった。
もし労働者が資本主義システムに満足しているとすれば、
その理由として、(戦前とくらべての)高賃金や豊かな消費生活や
高福祉といった事情も考えられるけれども、
まずは生産点において作用している構造や関係があるはずであり、それは何であるのか、という疑問である。
『資本論』を研究していたわたくしがまずもとめたのは、
マルクスの時代から20世紀全体をつうじての職場における労使関係の変容の大まかな見取り図であり、
この変容の原因をあきらかにしようと試みる研究であった。
しかし日本における労使関係や労働過程にかんする諸研究は、
少数の研究をのぞくと、わたくしが抱いた疑問に答えをあたえてはくれなかった。
対象とする労使関係が時代的に古すぎたり、個別的な細かすぎる側面をあつかうものであったり、
『資本論』の現代的労使関係への強引な適用と思えるものであったり、
逆に現代的にすぎる研究しか存在しなかった。
わたくしは欧米の研究に頼らざるをえなかった。
さいわいなことにブレイヴァマンがひきおこしてくれた論争のおかげで、
以上の問題関心と重なりあうような労働過程にかんするすぐれた研究が存在した。
これらの研究にみちびかれて執筆したのが本書のもとになった諸論考である。
初出はいちおうかかげておいたが、これらの論考のうちとくに執筆時期が早いものについては、
論点を拡充し主題のいっそうの展開をはかったほかに、論旨の力点のおきかたの点でも構成の点でも、
原型をとどめないほど改訂をくわえた。本書はこのように、欧米の研究成果を手探りしながらはじまったわたくしの労働過程研究の序説をなすにすぎない。
当初の計画では、サービスセクターにおける統制構造の独自性を論じた諸論考をも収録し、
労働過程論の新たな展開方向を提示しておきたい。

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