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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 1979年11月 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | みすず書房 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784622004813 |
| ページ数 | 219P |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚

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コレ―ジュ・ド・フランスにおける開講講義を本にした『文学の記号学』は読みやすかったのだが、同じ訳者でありながら、咀嚼の労はバゲットとブリオッシュくらい違った。
それでもバルトの著作に魅力を感じ、愛蔵しているのは、文学への信頼と親愛に於いて、見解の一致からである。“文学とは実在なのである。つまり、現実を照らす光そのものなのである。”(『文学の記号学』)
息子と社会問題に巻き込まれて以来、残念ながら、慎重になるばかりで、実効性のある専門家には出会えなかった。「我が家だけ何故?」という呪縛が緩くて済んでいるのは、主にフランスの文豪たちのお蔭である。人間を具体的に教えてくれ、懊悩や愁傷に時間を蝕まれていくことから護ってくれた心強い存在なのだ。
私の両親も夫も、そして私も、文学部を卒業しているのだが、私は半世紀近く、文学の真価がわからないまま生きて来た。実母は、小学生の私と妹を親子劇場に定期的に連れて行き、演劇に親しませ、子供向けの世界文学のレコードが届くと私は結構楽しんで聴いていた。しかし、「その割りには…」という事もあり、特に結婚前までは、小説は娯楽用と思っていたり、映画も心情理解は夫の解説付きだったりした。
割り切れない感情、不条理、人生の深刻な局面、助けてくれる人に恵まれた人は別として、自分で復興していくには文学しか私にはなかった。処方箋があるわけではないので、気付きのままに読んで来たが、不思議と寸分違わぬほど言い当てた文章に出会った。そういうものが古典として遺されて来たのだ。
実母が連れて行ってくれた名演小劇場は閉館、活動母体は存続しているようである。世代交代か、芸術の日常からの衰退していくような、非常事態の正常化はいけない。
ロラン・バルトRoland Barthesの誕生日(1915年11月12日)に。