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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2011年08月29日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 紀伊國屋書店 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784314010863 |
| ページ数 | 592 |
| 判型 | 46 |
構成数 : 1枚
《目次》
名前と年代の表記について
はじめに
【第一章 ミドルワールド】
二つの世界—―地中海世界とミドルワールド
メソポタミア—―征服・統合・拡大・衰退・征服
ペルシア帝国の誕生
ゾロアスター教—―善悪二神論の宇宙
二つの世界の交差—―ペルシア戦争とアレクサンドロス大王の遠征
パルティア王国—―ペルシア人の復権
イスラーム前夜のミドルワールド—―サーサーン朝とビザンツ帝国
【第二章 ヒジュラ】
ムハンマドの誕生
ヒジュラ—―マッカからマディーナへ
ウンマ—―イスラーム共同体の誕生
マッカ軍との闘争—―バドル・ウフド・塹壕の戦い
ウンマの発展—―改宗を促したもの
ムハンマドの死
【第三章 カリフ制の誕生】
伝承学者とイスラーム版『聖書物語』
初代カリフ—―アブー・バクル
後継者問題とアリー
背教者の戦争とアラビア半島の再統一
第二代カリフ—―ウマル
「ジハード」と侵略戦争—―サーサーン朝の滅亡
イスラーム共同体の拡大
暦の制定と諸々の改革
【第四章 分裂】
第三代カリフ—―ウスマーン
クルアーンの正典化と産業振興の推進
カリフ殺害
第四代カリフ—―アリー
ラクダの戦いとアーイシャとの和解
スィッフィーンの戦い—―ムアーウィヤとの対決
アリー殺害—―正統カリフ時代の終焉
【第五章 ウマイヤ朝】
カルバラーの戦い—―フサインの死
シーア派とイマーム
「ジハード」の恩恵
アラブ化とイスラーム化の進展
【第六章 アッバース朝の時代】
格差の拡大とアラブ優先社会の矛盾
反ウマイヤ朝の気運—―シーア派とペルシア人
アッバース朝革命—―ハーシム派とアブー・ムスリム
イスラームの黄金時代—―アッバース朝の栄華
【第七章 学者・哲学者・スーフィー】
ムスリムの義務—―五行とウンマ
ハディース学の誕生
学者—―社会階層としてのウラマー
哲学者—―古代ギリシア思想の発見と「科学」の萌芽
ムウタズィラ学派と正統派ウラマーの対立
スーフィーの出現
知の巨人・ガザーリーの登場
ガザーリー以後のイスラーム世界と社会の保守化
【第八章 トルコ系王朝の出現】
カリフ制の分裂—―アンダルスのウマイヤ朝
さらなる分裂—―エジプトのファーティマ朝
アッバース朝の衰退—―トルコ族の台頭
ガズナ朝—―スルタンの誕生
トルコ系王朝—―セルジューク朝の興隆
邪悪な敵—―アサッシン教団
セルジューク朝の衰退と地方王朝の乱立
【第九章 災厄】
ヨーロッパ社会の変化と聖地への巡礼
十字軍のはじまり—―その前衛部隊
フランジの進軍
エルサレム占領—―十字軍国家の樹立
ムスリム陣営の混乱—―アサッシン教団の暗躍
反フランジ行動の胎動
ムスリムの救世主—―サラディン
エルサレムの奪回と第三回十字軍
ムスリムが見た十字軍
モンゴル帝国の誕生
チンギス・カンの征服事業
アサッシン教団の最期とバグダードの消滅
唯一の勝者—―マムルーク朝
ムスリムの勝利—―モンゴルのイスラーム化
【第十章 再生】
ムスリムの神学の危機—―敗北の意味
イブン・タイミーヤとサラフィー主義
スーフィー教団の形成
小アジアの神秘家たちと詩人ルーミー
オスマン帝国の夜明け
コンスタンティノープル陥落—―ビザンツ帝国の滅亡
抑制と均衡—―オスマン帝国の社会制度
オスマン帝国の最盛期—―スルタン・カリフ制の始まり
サファヴィー教団と十二イマーム派
チャルディランの戦い—―オスマン帝国VSサファヴィー朝
サファヴィー朝の最盛期—―芸術都市イスファハーン
ムガル帝国の登場—―バーブルという男
アクバル大帝—―「万人との平和」と「神の宗教」
イスラームとヒンドゥー教—―融和から迫害へ
三大帝国の時代—―イスラーム世界の普遍性
【第十一章 ヨーロッパの状況】
インド航路開拓と「発見の時代」
古代ギリシア思想の再発見と知の覚醒
カトリック教会の発展と宗教改革
科学的な世界観の誕生
国民国家の出現と重商主義
【第十二章 西ヨーロッパの東方進出】
初期の訪問者—―貿易商と軍事顧問
オスマン帝国の終わりの始まり
経済の破綻—―産業の衰退とインフレーション
スルタンのハレム
サファヴィー朝の消滅
ムガル帝国の解体と東インド会社の進出
グレート・ゲームとインド大反乱
「東方問題」としてのエジプト
フランス<...
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これは目からウロコの面白さだ。ほとんどの日本人は、西洋的史観を無条件に受け入れてしまっているのではないか。例えば、十字軍というのは、ヨーロッパのキリスト教徒が聖地エルサレムをムスリムから奪還するのが目的であったと正当化されている。しかし、逆の立場から見ると、普通に住んでいる場所に、いきなり遠征軍がやってきたのである。理不尽な厄災としか考えられませんわな。視点を大きく変えて世界史を見つめてみると、物の見え方が大きく違ってくる。これ、大事とちゃいますやろか。――仲野徹(ご隠居、大阪大学名誉教授)
(押し売り書店仲野堂#34「ドクターズマガジン」2024年11月号)
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世界は〈西洋〉と〈東洋〉だけで成り立っているのではない
9・11—―その時はじめて世界は〈ミドルワールド〉に目を向けた
西洋版の世界史の後景に追いやられてきたムスリムたちは自らの歴史をどう捉え、いかに語り伝えてきたのか
歴史への複眼的な視座を獲得するための、もうひとつの「世界史」
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西洋世界と今日のイスラーム世界の中核部分は歴史の大半をつうじて、いわば二つの別個の宇宙を形成していた。いずれも内輪の問題に没頭し、みずからを人間の歴史の中心に位置づけ、それぞれ独自の物語を生きていた—―十七世紀後半に二つの物語が交差するようになるまでは。その時点で、いずれかが譲歩せざるを得なくなった。なぜなら、二つの物語は互いに逆流として作用したからだ。そして、より強力だった西洋の潮流が優勢となり、イスラームの潮流を撹乱した。
しかし、表舞台から追われた歴史はそこで終わらなかった。それはあたかも潜流のように水面下を流れつづけ、現在もなお流れている。
(「はじめに」より)
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