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近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証

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フォーマット 書籍
発売日 2014年09月12日
国内/輸入 国内
出版社笠間書院
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784305707390
ページ数 304
判型 A5

構成数 : 1枚

はじめに
一 本書の対象と目的
二 本書の構成
三 これまでの近世刊行軍書研究

第一章 ◉ 近世刊行軍書の全体像

第一節 近世刊行軍書の沿革
一 近世刊行軍書の沿革―四つの時期
二 武家支配の時代という歴史観
三 史書の雅俗の間
四 系図編纂による武家の格式化
五 浪人という視座
六 軍学の学問化
七 読本へ

第二節 近世刊行軍書年表稿…47
【凡例】
本編 1 大坂物語/2 信長記/3 天正記/4 甲陽軍鑑/5 太閤記/6 聚楽物語/7 北条五代記/8 太平記秘伝理尽鈔/9 甲乱記/10 関東軍記/11 嶋原記/12 平家物語評判秘伝抄/13 太平記評判私要理尽無極鈔/14 太閤軍記/15 武者物語/16 楠正成一巻書/17 楠兵庫記/18 源平軍物語/19 江源武鑑/20 本朝百将伝/21 本朝武家根元/22 京都将軍家譜/23 織田信長譜/24 豊臣秀吉譜/25 太平記大全/26 朝鮮征伐記/27 古老軍物語/28 甲陽軍鑑評判/29 佐々木軍記/30 浅井物語/31 楠氏二先生全書/32 清正記/33 三好軍記/34 将軍記/35 続撰清正記/36 東鑑(仮名)/37 楠正成伝/38 太平記綱目/39 鎌倉管領九代記/40 北条盛衰記/41 信玄軍談記/42 北条九代記/43 後太平記/44 義氏軍記/45 西国太平記/46 本朝武林伝/47 楠知命鈔/48 頼朝一代記/49 頼朝三代記/50 後太平記評判/51 南木武経/52 楠家伝七巻書/53 楠公桜井書/54 続太平記/55 川中島合戦評判/56 浅井三代軍記/57 塵塚物語/58 古戦茗話/59 残太平記/60 多田五代記/61 源平太平記評判/62 古戦得失論/63 前太平記/64 公武栄枯物語/65 北畠物語/66 蒲生軍記/67 本朝名伝略記/68 本朝武家高名記/69 賤箇嶽記/70 石田軍記/71 本朝通紀/72 九州記/73 本朝武家評林/74 総見記/75 土佐軍記/76 明智軍記/77 越後軍記/78 高麗陣日記/79 続合戦得失論/80 戸次軍談/81 義経記評判/82 筑紫軍記/83 宗像軍記/84 義経興廃記/85 朝鮮軍記大全/86 朝鮮太平記/87 武門不忘記/88 室町殿物語/89 東国太平記/90 和州諸将軍伝/91 北国太平記/92 菊池伝記/93 旧説拾遺物語/94 新武者物語/95 本朝三国志/96 南朝太平記/97 北国全太平記/98 重編応仁記/99 北越太平記/100 西国盛衰記/101 九州軍記/102 木曽将軍義仲記/103 義経勲功記/104 陰徳太平記/105 新編東国記/106 源氏一統志/107 合戦高名記/108 信州河中島五戦記/109 諸家高名記/110 南海治乱記/111 四海太平記/112 曽我勲功記/113 前々太平記/114 諸家前太平記/115 楠一生記/116 本朝諸家勲功記/117 曽我物語評判/118 武将感状記/119 甲越戦争記/120 北条太平記/121 義貞勲功記/122 鎌倉実記/123 武家俗説弁/124 織田真紀/125 武家忠臣記/126 武田三代軍記/127 中国太平記/128 三楠実録/129 武家高名故事/130 豫陽河野盛衰記/[刊年不明作品] 131 鎌倉将軍家譜/132 楠軍物語

第二章 ◉ 読み物的刊行軍書の成立と展開―付、西鶴小説との関係

第一節 寛文期仕官軍学者の写本軍書―『慶長軍記』『朝鮮征伐記』
一 雑種の魅力
二 『慶長軍記』の作者植木悦
三 教訓と和漢の故事引用・比較
四 浪人軍学者の存在証明
五 軍師・預言者・怨霊―『太平記』的異伝
六 大関本『朝鮮征伐記』の作者宇佐美定祐
七 軍談色1―長口舌の魅力・「実は」の方法
八 軍談色2―カリスマのイメージ・英雄への同情
九 平時の管理者に求められる英雄像
十 非文学的側面
十一 御伽衆的軍学者から理論的な軍学者へ

第二節 読み物的刊行軍書の確立―『北条九代記』を中<...

  1. 1.[書籍]

近世期に刊行された、軍書の全体像を問う、初の書。「娯楽」「教訓」「歴史」「軍学」の諸要素が渾然としていたため、近世軍書は、近代的な制度である、文学研究・思想史研究・倫理学研究・歴史研究のどの研究分野からも継子扱いされてきた。
本書はそれらの諸分野を超え近世軍書の流れ、性格を考え、小説史に果たしてきた役割を論じていく。
武士の生き方を教えた軍書は、江戸時代の小説という「花」を生む「土壌」として見れば、武士の歴史を語る、まことに養分の多い「沃野」であった――。

【……本書では、「近世に制作・刊行された和軍記・通俗史書・雑史・軍談」を「近世軍書」と定義する。本書が、近世小説の一部としての、あるいは近世小説の母胎の一つとしての「近世軍書」を対象にする以上、軍語りの書である「軍記」が核になることは疑い得ない。しかし、近世に生産された軍記は、それを生みだした近世軍学を念頭に置かざるを得ないし、軍語りと軍学書の色彩が渾然一体とした『甲陽軍鑑』や『太平記秘伝理尽鈔』などの書物、あるいは『本朝通紀』のような軍記を漢文化した通俗史書をもはじき出さないことで、近世当時の「軍書」の制作・流通・受容の実態が見えてくるはずだからである。
むしろ、十七世紀前半には教訓と娯楽が渾然一体としていた軍書の在り方が、十七世紀後半になって出版ベースに乗っていくうちに通俗歴史読み物として一旦は定型化し、それが十八世紀という学問と文学の結婚の時代を迎えると、軍書が考証と娯楽と教訓に分化してゆく経過は、「軍書」の語を今日でいう「軍記」に限定しないことで明らかになってゆくのである。
また、そういう軍書の変遷を見渡してみた時、小説の時代設定の取材源となる軍書との関わり方が、西鶴に代表される浮世草子の武家物と、秋成に代表される初期読本とでどう質的に異なるのかも見えてくる。歴史と文学は双子だと言われるが、その二つの「点」を結ぶ重要な「線」の一つが刊行軍書なのである。……「はじめに」より】

作品の情報

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著者: 井上泰至

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