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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2014年08月26日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 共立出版 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784320034990 |
| ページ数 | 344 |
| 判型 | B5 |
構成数 : 1枚
第1章 タンパク質は生物学を知らない
1.1 プロローグ:キャンディー,ホコリ,生物学の統計物理
1.2 本書での基本原理
1.3 本書について
1.4 分子的なプロローグ:ブタンの 1 日の生活
1.5 タンパク質にとって平衡は何を意味するか?
1.6 実験に関して一言
1.7 動画を作る:分子動力学シミュレーションの基本
1.8 タンパク質の構造の基本
1.9 各章について
第2章 すべての核心:確率論
2.1 はじめに
2.2 1次元分布の基本
2.3 揺らぎと誤差
2.4 2次元:射影と相関
2.5 簡単な統計がモーター・タンパク質のメカニズムを明らかにするのに役立つ
2.6 追加の問題:軌道の解析
第3章 簡単な系から大いに学ぼう:1次元での平衡統計力学
3.1 はじめに
3.2 エネルギー地形は確率分布だ
3.3 配置ではなく,状態
3.4 自由エネルギー:確率論を信じれば,常識にすぎない
3.5 エントロピー:それはただの名前である
3.6 まとめ
3.7 簡単な系から物理的直観を得る
3.8 ゆるい終わり方:適正な次元,運動エネルギー
第4章 自然は分配関数を計算しない:基本的なダイナミクスと平衡
4.1 はじめに
4.2 ニュートンのダイナミクス:決定論的だが,予測できない
4.3 バリア越え:活性化過程
4.4 流束の釣り合い:平衡の定義
4.5 再び,簡単な拡散
4.6 確率過程ダイナミクスについて追加:ランジュバン方程式
4.7 重要な道具:相関時間と相関関数
4.8 すべてをまとめると
4.9 いろいろな誤差:分子シミュレーションのダイナミクス
4.10 ミニプロジェクト:2 重井戸ダイナミクス
第5章 分子は相関している! 多次元の統計力学
5.1 はじめに
5.2 3次元以上のための序曲
5.3 座標と力場
5.4 1個の分子の分配関数
5.5 多分子系
5.6 自由エネルギーは,やはり確率を与える
5.7 まとめ
第6章 複雑さから単純さへ:平柊力ポテンシャル(PMF)
6.1 はじめに:PMF はそこら中にある
6.2 平柊力ポテンシャルは自由エネルギーのようなものである
6.3 PMFは反応レートや遷移状態を与えないかもしれない
6.4 動径分布関数
6.5 PMFは「知識ベースの」(統計的な)ポテンシャルにおいて基礎となる
6.6 まとめ:PMFの意味,利用法,その限界
第7章 「自由」エネルギーの何が自由なのか? 本質的な熱力学
7.1 はじめに
7.2 統計熱力学:微分することができる?
7.3 理想気体を大好きになる
7.4 退屈だが真:第一法則はエネルギーの保存則を表す
7.5 G対F:他の自由エネルギーと,なぜそれらが重要なのか
7.6 自由エネルギーとその微分のまとめ
7.7 第2法則と(ときどき)自由エネルギー最小化
7.8 熱量測定:鍵となる熱力学的な技術
7.9 熱力学の必要最低限な本質
7.10 この章で触れなかった重要なトピックス
第8章 もっとも重要な分子:水の静電統計学
8.1 水の構造の基本
8.2 水分子は多くの結晶構造において構造的な要素である
8.3 水のpHと酸塩基の考え方
8.4 疎水効果
8.5 水は強誘電体である
8.6 水中の電荷+塩=遮蔽(スクリーニング)
8.7 溶解度について簡単に
8.8 まとめ
8.9 追加の問題:微分的な静電気学を理解する
第9章 結合とアロステリーの基礎
9.1 結合の動的な見方:結合レートと解離レート
9.2 マク
「統計力学」は物理の中では比較的高度な内容で,物性物理,素粒子物理,半導体工学などのために教えられることが多く,そこでは量子統計まで含んだ議論が行われることが多い。そのために,量子論を学ぶ理工系の学部3年以上の学習課題になっている。しかし,古典統計だけでもそのカバーする範囲は広く,特に化学や生物への応用例も豊富にある。本書は学部1年程度の力学,静電気学,数学(微分積分、確率論)の知識から,生体分子の統計力学を論じたものであり,特に確率論に基づく点がユニークである。統計力学の基礎的な問題に関してはさまざまな類書で十分に論じられているので,ボルツマン分布を基本的な確率分布関数として認めたうえで,それからどのように自由エネルギーやエントロピーといった,初学者に難しい概念を理解させることができるか試みている。その際に,いきなり一般化せずに,1次元系やブタンといったシンプルな系での議論を,かなり技術的な詳細に至るまで丁寧に解説しており,初学者には分かりやすくなっているものと思われる。また,統計力学をある程度以上分かっている読者にも,その説明法などで示唆的なところがあるだろう。また,本書を更に特徴付けているのは,通常の統計力学の議論は平衡系についてのもので終わることが多いが,最初からダイナミクス(動き)と統計力学の関係を自然なものとして導入していることである。本書の後半ではやや程度の高い確率過程論についても,生体分子の文脈で平易に論じている。この部分はいわゆる「非平衡統計力学」に関連する部分であり,その際に「経路の確率」という概念を導入している。これは現在盛んに研究されるようになった「レアイベント」と呼ばれる遷移現象を調べる際には基本となる概念であり,このことを議論している国内外の類書はないものと思われる。そこも本書の重要なポイントである。

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