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伊勢物語 ためらいを肯定する NHK100分de名著

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フォーマット ムック
発売日 2020年10月
国内/輸入 国内
出版社NHK出版
構成数 1
パッケージ仕様 -
SKU 9784142231195
ページ数 99P
判型 A5

構成数 : 1枚

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作品の情報

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色好みの系譜について興味を持ち、再度、テキストを読み直した。
広く多くの人に受け入れられる読み易い文章、示唆に富んだ内容、有意義なものだった。

「みやび」についての高樹のぶ子女史の洞察と見解から、私も自分の認識を洗い直した。
先ず、広辞苑の第2義には、“洗練された感覚をもち、恋愛の情趣や人情などによく通じていること。”用例には、伊勢物語「昔人は、かくいちはやき雅なむしける」。
私には、何度も反復される警句がある。
P.シェロ―監督『王妃マルゴ』で兄王シャルル9世が吐く台詞「女の趣味も良い」。
人情に通じている事と雅が一致を見る好例が、モリエ―ルやリュリらを輩出した「偉大なる世紀」のヴェルサイユ文化だと私は思った。
息子と社会問題に巻き込まれ、誰の助けもない時、人間の実相を呵責なく書き残した仏文学が、私の疲弊した精神を力強く助け起こしてくれた。そして、進路を決める時の若かりし頃の故鈴木道彦氏(プル―スト『失われた時を求めて』個人完訳)と酷似した点があった、フランス言語学者の娘である自分の定めを悟り、フランスの文豪たちと生きて行くと、今では毎日少しづつでも読むことが日課となった。

在原業平の和歌が物語の芽となり、『伊勢物語』が形成されたとする高樹のぶ子女史の見解に於いて、和歌から展開して、音楽作品も一つの和歌に準じた詩作品とすれば、触れることで個々人の内奥に作用して物語が生まれ、それは記憶の再構築や感情生活の創出であったりする。
最近、気づいたことは、真実と事実または現実は違う場合があると謂うこと。
『伊勢物語』は恋愛を主題とし、主に心情を語り織り成している。私は、恋愛をもう少し眼界を拡げた捉え方がしたいと感じた。恋愛も結婚も人間関係の一つであるから、良質な関係性の構築を主眼とするに至った軌跡が私にはあるからである。

雅が、感情生活の創出の場合、自分がどのように思いを扱いたいかを核とすることも可能。
先日、漢詩も好きな私の作法または営みの代弁と邂逅した。
・悲を美とする
・ただ、悲だけではいけない。悲とともに雅がなければならない。
(彭丹『いにしえの恋歌』)
文学は人の喜怒哀楽の情を表現することを旨とする。(同上)
文字で書くことに限定せず、生活時空間での行為で綴ることも出来ると信じている。
文学を創造する人々は、心を新機軸へ導く力があることを体感した。
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