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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2023年06月28日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 南江堂 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784524232734 |
| ページ数 | 168 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
【書評1】
「それとなくナースステーションに置いておきましょう」
本書をナースステーションに置いておいたところ,表紙の可愛いクマのイラストが人目を引いて,「この本何ですか?」と若い看護師さんたちが食いついてきた.その時点でこれまでの緩和ケアの本とは一線を画しているのだが,さらにたたみかけるように,カバーには「大事なことはおなかの中。」,便秘のスクリーニングの項では「うんこするときに困ってる?」などの印象的なフレーズがある.以下に述べるような本書のおもしろい点を伝えると,興味をもって読み進めていただくことができて,緩和ケアの深い森に誘うことに成功するのである.
カバーの印象からは,緩和ケアの森に初めて足を踏み入れる初学者を対象としているように思われるかもしれない.しかしながらその内容は秀逸であり,消化器症状の緩和ケアを専門としてきた立場からみても,勉強になる内容となっている.今まさに臨床現場で悩み,試行錯誤しながら患者さんと向き合っている若手ドクターたちが執筆陣となり,最新のガイドラインや論文,新規薬剤やデバイスなどを武器に,食事や排泄という患者さんの尊厳に関わる問題に真剣に取り組んでいる様子が臨場感をもって伝わってくる.
著者たちの叱られた話や失敗談などが惜しげもなく要所に盛り込まれているのもまたおもしろい.オピオイドの副作用による悪心だと思っていたら脳転移であった話,腹部診察をせず消化管穿孔を見逃した話,看護師さんからの患者さんの便秘に関する報告を聞き流していたら上司に苦情がいった話など,読者は同じ目線で「こんなことあるよね」と膝を打ちながら読み進めることができる(実際に,私自身も同じようなことがあった).著者たちの失敗をもとにわがふりを直すことができるのは大変有難いことである.
また,本書のところどころで入る森田達也先生(シリーズ監修者)の"合いの手"がおもしろい.たとえば,森田先生が悪心・嘔吐の評価について「医者の目からみると,悪心よりも嘔吐のほうがはっきりしていて目につくのですが,患者さん目線では,『(1日に1~2回)吐くのはつらくないけど,悪心がずっと続くのがつらい』ということが多いです」と書かれているが,私が10年以上前に森田先生から研究計画書の書き方を指導していただいたときに,「悪心は持続時間も評価するように」とのご指摘をいただいたことを思い出した.森田先生も,臨床も,研究も,大事なことは変わらないのだなと感じた.
以上,本書のおもしろい点の一部をお示ししたが,興味をもったあなた,緩和ケアの森に誰かを誘いたいあなたにぜひご一読いただきたい.
臨床雑誌内科132巻6号(2023年12月号)より転載
評者●久永貴之(筑波メディカルセンター病院緩和医療科 診療科長/緩和ケアセンター長)
【書評2】
本書を手に取って最初に,「ようこそ 緩和ケアの森」の表紙デザインに興味を惹かれます.そして,「がん・非がん患者の消化器症状を診る」と聞いて,消化器症状は患者にとってとてもつらい症状ですので,「すぐになんとか対処しなければいけない」と頭に浮かんだ看護師の皆さまも多いのではないでしょうか.そんな悩みを抱えることの多い消化器症状を診る際に助けとなるのがこの1 冊です.本書を読み...
緩和ケアという森にはさまざまな木(テーマ)が生えている.そんな森に足を踏み入れようとしているあなたに,初心者時代の記憶新しい著者らが記す,<緩和ケアの"超入門書"シリーズ>!!
本巻では消化器症状の緩和ケアをがん/非がん問わず解説.悪心・嘔吐や腹水,消化管閉塞への対応を知り,食欲不振,便秘など「"食べる"から"出す"まで」にまつわる諸問題に対して患者と家族に寄り添い,支えるための一冊.
【書評】
本書を手に取って最初に,「ようこそ 緩和ケアの森」の表紙デザインに興味を惹かれます.そして,「がん・非がん患者の消化器症状を診る」と聞いて,消化器症状は患者にとってとてもつらい症状ですので,「すぐになんとか対処しなければいけない」と頭に浮かんだ看護師の皆さまも多いのではないでしょうか.そんな悩みを抱えることの多い消化器症状を診る際に助けとなるのがこの1 冊です.本書を読み終えたとき,消化器症状についてわかっているようで,今さら先輩にも聞けない,そんな悩みを解決してくれるのが本書だと確信しました.
本書は,消化器症状の病態生理について詳しく説明されています.読んでいると今まで何となくわかった気でいた自分が恥ずかしくなりました.「これは勉強になる!」とどんどんページをめくって没頭して読んでしまいました.治療に加えて,ケアの大切さも述べられており,看護師にはたいへん有難い内容です.初心者の心得からレベルアップの心得までが記載されており,本書を読み終えた私は,消化器症状についてどのような対応でもできそうな気がしてきました.ぜひ,多職種で読み合わせていただきたい内容です.
先日,病棟でも下痢が持続する患者さんのアセスメントを考えるときに本書を用いました.ポイントが整理されていて,さらに病態生理についてもわかりやすくまとめられており,スタッフみんながとても勉強になり,患者さんによりよいケアを提供することができました.何となく理解していた薬剤についても,いま一度,理解を深めるきっかけとなりました.
さらに本書は,がんだけに限らず非がん患者の場合も述べられているので,アセスメントの視野が非常に広がります.
ぜひ,本書を手元において,日々の学習のみならず,看護実践に役立ていただきたいと思います.
がん看護29巻4号(2024年7-8月号)より転載
評者●岡山幸子(宝塚市立病院看護部/緩和ケア認定看護師)

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