構成数 : 1
大きな災害が発生した直後、人々が茫然自失している間に進められる急激な新自由主義的改革=ショック・ドクトリン。
3.11後の東北もまた例外ではない。水産業特区、空港民営化、遺伝子検査、大型小売業の進出……、地をはう取材を積み重ね、被災地の現実を報告する本格ルポ。
■編集部からのメッセージ
私の苗字を見るとわかる人はわかるのですが、父の故郷は岩手です。
典型的な中山間地で、大声を出しても隣家に声が届きません。集落の9割までが「熊谷さん」で、お互いは屋号で呼びあいます。つい最近、近くに舗装された農道が通りましたが、家の前の道はずっと舗装もされず、田んぼと山野と溜池に昆虫と小動物が溢れかえり、私の小さいころには家に牛もおり、魅力あふれる土地でした。今も伯父の家族が先祖代々の田んぼを守っています。
実家は沿岸部ではありませんでしたから、3.11では、先祖の眠る墓の石が倒れる程度の被害で済みました。しかし、新聞などで連ねられているあまりに多くの犠牲者――「熊谷さん」も少なくありませんでした――の失われた表情が、故郷の人々の顔つきと重なり、言い尽くせない哀しみを覚えました。
だから、復興予算が、まるで被災地と関係のない事業へ行政の手によって横流しされたうえ、復興とも関係があるのだと強弁された時には、哀しみの深さはそのまま憤りの強さに変化しました。ジャーナリストの柳田邦男氏が繰り返し警鐘を鳴らしてきた行政倫理の欠如という問題が、これほど顕著に現れている事例はないでしょう。
しかし、問題はそうしたわかりやすい不公正だけにとどまりませんでした。震災から時をおかずに、「復興」の名のもと、数多くの事業が、そこに住んできた人々の意志や思いとは関係のないところで決められ、遂行されはじめたのです。それは特に、宮城県において顕著でした。
この古川さんのルポは、そうして火事場泥棒的に、被災者の思いなどとは無関係に、震災を「儲ける好機」と考えた人々の姿を、そしてそれに抗う草の根の人々の姿を、地を這うような取材で活写したものです。
3.11からまもなく4年が経過します。不意打ちのように進められてきた被災地でのショック・ドクトリンは、今度は、忘却と無関心とを培地として進められるのかもしれません。被災地で何が進められているのか、ご一読ください。
【『世界』編集部:熊谷伸一郎】
| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2015年03月05日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 岩波書店 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784000610278 |
| ページ数 | 192 |
| 判型 | 46 |

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