「花咲ける騎士道」
フランスの民謡「ファンファン・ラ・チューリップ」に脚本のルネ・ウェレとルネ・ファレがロマンスやアクションを取り入れた冒険活劇。
ジェラールが"ファンファン"という愛称で世界中から愛されたきっかけとなった作品だが、実際にはジェラールは乗馬も剣も苦手だったという。撮影されたグラース地方は、ジェラールがまさに子供時代を過ごした場所で、本作でのジェラールは危険な決闘シーンをこなしつつも、スタッフと一緒に悪ふざけに興じるなど、少年時代に戻ったかのような楽しいひとときを過ごした。
ヒロインには『夜ごとの美女』(52/ルネ・クレール)でも共演したイタリアの女優ジーナ・ロロブリジーダ。監督は『パルムの僧院』でジェラールと組んだクリスチャン・ジャック。本作により1952年第5回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞している。

「肉体の悪魔」
第一次大戦の最中を舞台に若き人妻と高校生の許されざる恋を描く、戦後フランスを代表する作品。
夭逝の作家レーモン・ラディゲの原作を、後に『赤と黒』(54)、『勝負師』(58)でジェラールと組む名匠クロード・オータン=ララが叙情味あふれる作品に仕上げた。
新進俳優だったジェラールが初の大役を演じ、17歳の揺れ動く繊細な感情を表現。依頼を受けた時、ジェラールは24歳、主人公のフランソワとは7歳の差があり、出演を躊躇したというが、その時に知り合ったニコル・フルカドのアドバイスを受け、出演を決意。その助言者ニコルは後の妻アンヌ・フィリップである。なお伝令役に『ぼくの伯父さん』(58)で知られる映画監督・俳優のジャック・タチが出演している。
※本編マスターは、権利元より提供されたオリジナルバージョンを国内ラボラトリーで修復、HDに変換、アップコンバート(高解像度化)したものです(2022年「ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭」にて上映されたマスターとなります)。