90年代オルタナ由来のラウドなギターとポップ・ロック感覚で現代USロック・シーンを牽引してきたフィラデルフィアのバンドWEBBED WING。TAYLOR MADISONとJAKE CLARKEのソングライター・コンビ双方が同時に在籍する同郷コレクティヴSUPERHEAVEN時代から続くメロディ志向と轟音ギターのバランスで、USインディやポスト・グランジ以降の感覚を更新してきました。ベースのMIKE PAULSHOCKを交えたトリオ編成で、メロディックなロックを軸にパワー・ポップやカントリーの要素まで飲み込むプロジェクトです。
2019年に発表されたデビュー作となる本盤は、インディのローファイ感覚とメジャー級のメロディを同じ線上に置いたフル・アルバム。ラウドなギターと削ぎ落としたリズム隊の上に、TAYLOR MADISONの歌が乗る構図が一貫していて、USポップ・パンクやオルタナ・ロックと共振しながらもよりメランコリックな側面を強めた内容です。のちの2021年作『WHAT'S SO FUCKING FUNNY?』へ続く方向性が、この時点でかなり明確に見える一枚となっています。
ざらついたギターと開放的なサビで走り抜ける"BAD FOR ME"、タイトなビートと抑えたヴォーカルでグランジ以降の陰影を描く"TUNNEL VISION"、ハーモニカも効いたアコースティック寄りの質感で歌そのものの強さを浮かび上がらせる"ALL WENT WRONG"など、エモの感触とラウド・ロックの圧を同じフレームで鳴らすバンドの特徴的なスタイルがはっきりと伝わる内容です。
90年代以降のUSオルタナとポップ・パンク、そしてカントリーやフォークの湿り気を現在のフィラデルフィアという土地感覚でまとめ直したフル・アルバム。SUPERHEAVENでの活動を知るリスナーにとっては地続きの進化であり、WEBBED WINGから入るリスナーには現行ギター・ロックの良質な入り口となる作品です。
発売・販売元 提供資料(2026/01/09)