1981年リリース。近年のシティ・ポップブームによる再評価により再発が待ち望まれていた作品がカラーヴァイナルで登場!
岩倉健二、大村憲司、青山純ら豪華メンバー陣を迎え、当時人気のウエストコースト・サウンドを忠実に再現し自ら作詞も手がけ、アイドルからの脱却を図ったアーティスト色の強い1枚。
大人へと脱皮した飾り気のないストレートな歌声は現在のシーンでも違和感なく聴くことができる作品。
【A面】
1. S-O-O-N
作詞:住野裕之 作曲・編曲:岩倉健二
2. SWEET JOKE
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:岩倉健二
3. SO MANY FRIENDS
作詞・作曲・編曲:住野裕之
4. 6 FOOTPRINTS
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:岩倉健二
5. EVENING GLOW
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:岩倉健二
【B面】
1. CAFE B.H
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:細井豊
2. SAY SAY GOODBYE
作詞:長嶋宣、岡崎友紀 作曲・編曲:告井延隆
3. CATARINA ISLAND
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:告井延隆
4. 5 MINUTES WAIT
作詞:長嶋宣 作曲・編曲:中野督夫
5. NEW
作詞:岡崎友紀 作曲・編曲:清水信之
Guitar:岩倉健二(ファースト・ブランド)[A1~A5]、中野督夫(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]、告井延隆(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]、大村憲司[B5]
Bass:真野喬紀(ファースト・ブランド)[A1~A5]、久田潔(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]、中村裕二[B5]
Keyboards:清水信之[B5]、住野裕之(ファースト・ブランド)[A1~A5]、告井延隆(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]、細井豊(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]
Drums:石坪信也(ファースト・ブランド)[A1~A5]、本多正典(センチメンタル・シティ・ロマンス)[B1~B4]、青山純[B5]
Percussion:佐々木敏則(ファースト・ブランド)[A1~A5]、マック清水[B1~B4]
Saxophone:さっか利郎[A1]、中原幸雄(ファースト・ブランド)[A1~A5]
Clarinet:さっか利郎[A1]
発売・販売元 提供資料(2023/05/18)
自分の中では”アイドル”の領域だったので、2004年に本作がCDリリースされた時も、正直、距離を置いていたのだが、発売当時、タワーレコード小倉店で何気に本作を視聴し、その内容の素晴らしさに不覚にも圧倒されてしまった。
オープニングの「S-O-O-N」から弾けていた。歌声こそ初心者マークが外せない危なっかしさを感じたが、楽曲は極上のアダルト・コンテンポラリー仕様の特級品だった。特筆すべきはシャープでスマートなアレンジだ。小気味よいブラスとベースのブレンドが絶妙で、軽快に跳ね回るギターのファンタスティックでワンダーランドなエンディングが乾いた西海岸の涼風を届けてくれた。
続いて流れてきたのは心地よい”ドゥービー・サウンド”のルールに則った「SWEET JOKE」だった。M・マクドナルドというよりも、それをリスペクトしたロビー・デュプリーのテイストに近い。A面の2曲目には必要不可欠な楽曲だ。
中盤の「CAFE B,H」辺りは、タイトルこそトニー・シュートの「CAFE L.A.」を想わせるが、グイグイと押してくるラッシュライフでスノッブな雰囲気は、ライトでメロウなスケープとは全くの”別物”だった。攻めるギターもジェイ・グレイドンふうで切れがいい。
全体的に王道を征くAORのエッセンスを余すところなく”和”の様式に落とし込みながらも、所々にオールド・ファッションドなポップスやボサノヴァを下地にしたシックな楽曲をミックスするなど、最後まで手を抜くことなく、完璧な”和製AORアルバム”に仕上げている。音楽への向き合い方が"ストイック"だし、"真摯"だし、"妥協"といったものが微塵も感じられない。
本作は、同時代の”時流に乗って海外録音してみました”的なスタイル先行のアルバムとは明らかに一線を画している。岡崎友紀というアーティスト名や小悪魔的なショットのジャケットに騙されてはいけない。間違いなく、”買い”だ。