アメリカン・ルーツ・ミュージックの歴史を自らに取り込み、アメリカン・ミュージックの未来を紡ぎだす才媛、リアノン・ギデンズ。
つい先日ピューリッツァー賞を受賞したばかりの彼女が、ソロ名義の作品としては約6年振り、そして全編オリジナル楽曲を収録した作品としては初となる最新作『YOU'RE THE ONE』を完成させた!
アメリカン・ミュージックの全てが有機的に折り重なっていくこのアルバムで、彼女はルーツ・ミュージックの未来を見事に描き出していく…。
「みんながアメリカン・ミュージックをただ聴いてくれたらいいな、と思ってる。ブルースやジャズ、ケイジャンやカントリー、ゴスペルやロック…、すべてがそこにあるし、私自身もそういった様々なスタイルが有機的に折り重なっている場所にいることが大好きなの。とにかく楽しい曲ばかりで、ここに収録した曲たちができる限り多くの人たちと出会う機会を作っていきたいわ。私がどんな活動をしているか知らない人にも、この曲が響いてくれるかもしれないから」 ─ リアノン・ギデンズ
グラミー賞、マッカーサー賞、そしてつい最近ピューリッツァー賞をも受賞した、アメリカン・ミュージックの知性を感じさせるシンガー・ソングライター/演奏家、リアノン・ギデンズ。ルーツ・ミュージックの歴史を自らに取り込み、その未来を紡ぎだす才媛である彼女は、2019年と2021年にイタリアのジャズ・ミュージシャン、フランチェスコ・トゥリッシとのデュオ名義で作品を2枚発表、様々な文化の楽器やサウンドを取り入れながら自らの音楽観を広げていった。その彼女が、ソロ名義としては2017年に発表した非常に高い評価を受けるアルバム『FREEDOM HIGHWAY』に続く実に6年振りとなるサード・アルバムであり、彼女にとって初の全曲オリジナル楽曲のみで構成された最新スタジオ・アルバム『YOU'RE THE ONE』を完成させた!(1/2)
発売・販売元 提供資料(2023/05/19)
ケンドリック・ラマーやアリシア・キーズ、ソランジュやヴァレリー・ジューンといったアーティストたちとの仕事でも知られるジャック・スプラッシュをプロデューサーに迎え、マイアミにあるCriteria Recording Studiosにてレコーディングされた今作には、彼女の手による楽曲全12曲が収録されており、アルバム全編を通して、彼女がそのキャリアを通して深く掘り下げてきたフォーク・ミュージック、そして音楽史を通して脈々と続いていくポップスの流れを組み上げていった、人生を肯定するエネルギーが溢れている。
プロデューサーのジャック・スプラッシュの人脈から選ばれたミュージシャンたちに加え、パートナーであるイタリアのマルチ・インストゥルメンタリスト、フランチェスコ・トゥリッシをはじめ、同じくマルチ・インストゥルメンタリストのダーク・パウエル、ベーシストのジェイソン・サイファー、コンゴ出身のギタリスト、ニウェル・ツムブなど、過去10年間リアノン・ギデンズと近しい存在として様々な音楽を生み出ていく協力者たちを中心に構成されたバンドと共にレコーディングをしたこの『YOU'RE THE ONE』。ここにはエレクトリック・ベースやアップライト・ベース、コンガやケイジャン・アコーディオン、ピアノ・アコーディオンやギター、西洋の様々な弦楽器、マイアミ・ホーンなどがフィーチャーされており、印象的なアンサンブルを聴かせてくれると同時に、作品全体に流れる包括的な精神を強く感じさせてくれる。
様々なスタイルのアメリカン・ミュージックを非常に自然な形で同居させるこの作品は、まさにアメリカン・ミュージックの未来をより明確に描き上げたアルバムだと言えるだろう。冒頭の彼女の言葉にもある通り、彼女の歌が新たなアメリカン・ミュージック・リスナーを生み出し、また彼女を知らない人たちが彼女の音楽に触れることで、より幅広いアメリカン・ミュージックの世界の扉を開くことになるのだ。(2/2)
発売・販売元 提供資料(2023/05/19)
グラミー賞に加え、マッカーサー賞、ピューリッツァー賞も受賞したアメリカーナ界の才媛が初めてオリジナル曲だけで完成させたサード・アルバム。彼女自身は本作をただ一言〈アメリカン・ミュージック〉と位置付けているが、これまでのフォークから一転、ぐっと前に出てきたソウルフルな印象があまりにも鮮烈だ。プロデューサーはR&B界隈の仕事が多いジャック・スプラッシュ。そこに溶け込んだフォーク、ブルース、ジャズ、ケイジャン、ゴスペルの要素が味わい深いコクを醸し出す。控え目に言っても傑作。"Yet To Be"ではジェイソン・イズベルと情熱的なデュエットを繰り広げている。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.478(2023年9月25日発行号)掲載)
初聴したタイトル曲の、キャロル・キングや初期シェリル・クロウを彷彿とさせる、想定外のポップさに驚かされたが、アルバムを通して聴くと、これまで同様ブルース、ジャズ、フォークなど様々なアメリカン・ルーツ・ミュージックがリアノンの音楽の中にある。本作ではそれらが有機的に結びつきあいポップ・ミュージックという大河へと発展。彼女の歴史という積み重なった時間の重みを感じさせる歌声の効果も相まって音楽の奥深さや複雑さに今更ながら圧倒された。そんなリアノン・ギデンス初の全曲オリジナルとなるソロ3作目。常々発見する楽しみの尽きない一生の愛聴盤に出会いたいと思ってるが彼女の作品がまさにそう。
intoxicate (C)小畑雄巨
タワーレコード(vol.164(2023年6月20日発行号)掲載)