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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2016年07月27日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 白水社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784560092675 |
| ページ数 | 404 |
| 判型 | 四六 |
構成数 : 1枚
作家の遺稿から発見された異色の長篇
『2666』の世界を先取りする初期の重要作
戦争ゲーム〈第三帝国〉のドイツ・チャンピオンがカタルーニャの海岸で過ごす奇妙な休暇。
現実と虚構の狭間で、次第に得体の知れない恐怖にとらわれ、追い詰められていく……
[解説]都甲幸治
「彼が答えに窮する間、[僕は]地図上のどこか一点を見つめていた。大会で初対面の二人が相対するときにはよくそうする。地図上の一点を見つめ、最初のターンが始まるまで対戦相手が現実にそこにいることを忘れようとするのだ。視線を上げると〈火傷〉と目が合った。邪気のないその目を見て僕は、彼が勝負を受け入れているのだとわかった。」
――本書より
ウド・ベルガーはウォーゲーム(戦争ゲーム)のドイツ・チャンピオン。恋人のインゲボルクと初めてのバカンスを共に過ごすため、カタルーニャの海岸地方を訪れた。ここで第二次世界大戦をモデルにしたゲーム〈第三帝国〉の新たな戦法についての記事を書こうとしている。
二人は近くのホテルに滞在中のドイツ人カップル、チャーリー(カール)とハンナと出会い、〈狼〉、〈子羊〉、〈火傷〉という地元の若者と知り合う。記事が捗らないまま日々が過ぎ、ある日、サーフィンの最中にチャーリーが行方不明になる。夏が終わりに近づくがチャーリーはいっこうに見つからず、ハンナ、そしてインゲボルクはドイツに帰国する。ウドはなおもホテルに留まり、ホテルのオーナー夫人、フラウ・エルゼに言い寄りながら、〈火傷〉を相手に〈第三帝国〉をプレイし続ける。ウド率いるドイツ軍の敗色が濃厚になるなか、現実を侵食しつつあるゲームの勝敗の行方は……。
1989年に書かれた本書は、作家の遺稿の中から発見され、2010年に刊行された。日記風の体裁や、現実と虚構の中で得体の知れない暴力や恐怖に追い詰められていく点で、後年の『野生の探偵たち』や『2666』の要素を先取りする初期の重要作。

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