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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2023年03月24日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 南江堂 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784524230938 |
| ページ数 | 396 |
| 判型 | B5 |
構成数 : 1枚
【序文】
医療は着実に進歩し,痛みを和らげる治療に関連した薬剤や技術は増え,十分とは言えないもののエビデンスも積み上げられてきていますが,いまだにがんの痛みは多くの患者さんとご家族を苦しめ,医療者を悩ませています.
国際疼痛学会(ISAP)が2020年に41年ぶりに改訂を行った「痛みの定義」に付記された項目では,「痛みは常に個人的な経験であり,生物学的,心理的,社会的要因によって様々な程度で影響を受ける」「痛みと侵害受容は異なる現象であり,感覚ニューロンの活動だけから痛みの存在を推測することはできない」「個人は人生での経験を通じて,痛みの概念を学び,痛みを経験しているという人の訴えは重んじられるべきである」とされています.また,世界保健機関(WHO)が2018年に22年ぶりに改訂を行った『WHOがん疼痛ガイドライン』では,「患者の全体的な評価が治療の指針となるべきであり,人によって痛みの感じ方や表現の仕方が違うことを理解する」「心理社会的およびスピリチュアルなケアががんの痛みのマネジメント計画に含まれる」とされています.このように,世界的にみても痛みの概念が変わってきており,痛みを包括的に捉えて対応することの重要性がさらに増しています.
がんの痛みに対するトータルマネジメントの重要性は増すばかりですが,一方でトータルマネジメントは「言うは易く行うは難し」だと編者も日々感じています.しかし,やはりがん患者さんの診療やケアに携わる医療者は皆,がんの痛みに対するトータルマネジメントを意識していかなければなりません.意識をし,実践をしようと心がけるだけでも診療やケアが少しずつ変わっていくのではないかと感じています.
本書は,専門家だけではなく,がん患者さんの診療やケアに携わる医療者が,様々な視点から痛みを包括的に評価し,トータルマネジメントを意識して対応できるようになることを目指すためのテキストとして作成いたしました.本書の構想は2017年に始まり,5年以上の時を経て,この度出版にいたりました.これはひとえに南江堂のスタッフの熱意の賜物です.3名の編者と南江堂のスタッフとで,より良いテキストをつくるのにどうしたらよいかと何度も会議を開いたことを懐かしく思い出します.
がんの痛み治療やケアについては,これまでも多数の参考書が出版されていますが,本書はこれまで以上に様々な観点から網羅的にまとまったテキストになったと感じています.執筆も,ベテランの方から新進気鋭の方まで,その道のエキスパートの方々にご担当いただきました.
本書を刊行するまでにご助力いただいた方々,特に製作過程でご意見をくださった小杉和博氏,三輪聖氏,大森崇史氏,そして何よりも編者を粘り強く支えてくれた南江堂の方々に心より感謝申し上げます.
最後に,がん患者さんの診療やケアに携わる多くの医療者に本書を手に取っていただき,がんの痛みに苦しむ患者さんとご家族が痛みから解放される一助として,本書が役立てば大変うれしく思います.
2023年3月
公益財団法人がん研究会有明病院 緩和治療科 松本禎久
聖隷三方原病院 緩和支持治療科 森 雅紀
東北大学大学院医学系研究科 緩和医療学分野 田上恵太
【目次】
第1章 がんの痛みの基本的知識
1.がんの痛みとは
Note が...

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