マーラー「大地の歌」のピアノ伴奏版は、1987年に発見されて世界的に注目され、1989年にマーラー全集の1冊として出版されてから広く取り上げられるようになりました。これは管弦楽伴奏版のためのスケッチや、ヴォーカルスコアとしての副産物ではなく、独立した作品として構想された作品と考えられ、歌曲のようにより緻密で精妙な表現力が要求される形式といえましょう。そうしたマーラーの「歌の世界」を十全に表現したゲルハーヘルの歌唱は、一つ一つの言葉に込められたニュアンスまでが美しく立ち上がる明晰さが持ち味。細かな情景描写の背後に人物の心情を謳った「大地の歌」のテキストに相応しいものです(ケント・ナガノ/モントリオール響との2008年録音以来2度目、ピアノ伴奏版では初)。テノールは、ポーランド生まれのピョートル・ベチャワ。近年ではワーグナー「ローエングリン」も含むドラマティックな役を中心に歌っており、ここでも軽やかな美声で麗しく感情豊かに歌い上げています。曲想を抉るゲロルト・フーバーのピアノも聴きもの。 (C)RS
JMD(2023/03/30)
2人の歌手とピアノが表現するマーラー「大地の歌」の神髄
マーラー「大地の歌」のピアノ伴奏版は、1987年に発見されて世界的に注目され、1989年にマーラー全集の1冊として出版されてから広く取り上げられるようになりました。これは管弦楽伴奏版のためのスケッチや、ヴォーカルスコアとしての副産物ではなく、独立した作品として構想された作品と考えられ、歌曲のようにより緻密で精妙な表現力が要求される形式といえましょう。
そうしたマーラーの「歌の世界」を十全に表現したゲルハーヘルの歌唱は、一つ一つの言葉に込められたニュアンスまでが美しく立ち上がる明晰さが持ち味。細かな情景描写の背後に人物の心情を謳った「大地の歌」のテキストに相応しいものです(ケント・ナガノ/モントリオール響との2008年録音以来2度目、ピアノ伴奏版では初)。テノールは、ポーランド生まれのピョートル・ベチャワ。近年ではワーグナー「ローエングリン」も含むドラマティックな役を中心に歌っており、ここでも軽やかな美声で麗しく感情豊かに歌い上げています。曲想を抉るゲロルト・フーバーのピアノも聴きもの。
発売・販売元 提供資料(2023/03/27)