エレクトロニック・ミュージックの探求者、ジェームス・ホールデン、ソロとしては4枚目のアルバムが完成。ダンス・ミュージック創世記を特徴づける希望、自由、可能性といった感情との再会を求め、自身の音楽的過去と折り合いをつけようとしたアルバム『イマジン・ディス・イズ・ア・ハイ・ディメンショナル・スペース・オブ・オール・ポシビリティーズ』、リリース。
エレクトロニック・ミュージックの探求者、James Holdenはニュー・アルバムをリリースする。これは、パラレル・ワールドのためのレイヴ・ミュージックで、一般的な制約は受けない。ダンス・ミュージック創世記を特徴づける希望、自由、可能性といった感情との再会を求め、その過程で自身の音楽的過去と折り合いをつけようとした作品である。ジャズとライヴ・バンドが融合した前作『The Animal Spirits』とは対照的で、このHoldenのソロとして4枚目のアルバムは、連続したサウンドのコラージュだ。オーディオ・ワールドとフィールド・レコーディングを芸術的に並置し、The KLFの『Chill Out』やFuture Sound of Londonの広大なレディオスケープなど、90年代初期の牧歌的なクラシックに似た制限のないアプローチをとっている。
発売・販売元 提供資料(2023/03/20)
2017年に自身のバンド=アニマル・スピリッツを率いてクラウトロックに挑んだかと思えば、2018年にはドキュメンタリー映画のサントラを手掛けるなど、〈エレクトロニック・ミュージックの探求者〉を地で行くジェイムズ・ホールデン。ソロとしては4作目となる本作でもフィールド・レコーディングを取り入れた牧歌的な仕上がりのエレクトロニカ"Common Land"や予測不能な展開が続く"Contains Multitude"など、さまざまなアプローチを駆使して聴き手を驚かせてくる。同時期にリリースされたネイサン・フェイクの作品と比較して聴いてみるのも一興だ。彼の〈ボーダー〉を越える旅路はまだまだ続いていく。
bounce (C)野村有正
タワーレコード(vol.473(2023年4月25日発行号)掲載)