カクバリズムの大黒柱ことYOUR SONG IS GOODが、2ndアルバムにして、自身初のメジャーアルバムとしてリリースした「HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! HOT!」が、16年の時を経て、初LP化決定!
先行シングルとしてリリースされた「あいつによろしく」を含む全15曲収録。2007年発表。
発売・販売元 提供資料(2023/03/15)
ムダにノー天気で熱くて(暑苦しくて)、過剰にパワフルでバカ陽気すぎで悪ノリしすぎてイケイケ状態なんで、そこまでやられるとこっちはもはや何も考えられなくなって大笑いして踊り狂ってその瞬間瞬間を最高に楽しむだけでいいやって気になる――演ってるほうが全身全霊を傾けて一所懸命になってひたすら音楽に没頭してクソ真剣にバカ騒ぎをかますもんだから、こっちにもそれは伝播して血は沸きたぎり、快楽に溺れて我を忘れてしまうっていうことだ。音楽ってスッゲエなあ~、コーフンするぜ。楽しくてしょうがなくてホントたまらんよなあ~、サイコーだぜ……って書き記してみるとあまりにあたりまえすぎてバカっぽく見えちゃうけど、思わずそう書いてしまう音楽が持つ普遍の真理と本質的な魔術性を改めて痛感させられるわけだ、YOUR SONG IS GOODの新作『HOT! HOT! HOT! HOT! HOT! HOT!』を聴いていると。
SOIL &“PIMP”SESSIONSのホーン部隊=タブゾンビと元晴、それにCUBISMO GRAFICOこと松田“チャーベ”岳二がスティールパンで、さらにSLY MONGOOSEのパーカッショニストである富村唯やレーベルメイトであるイルリメとMU-STARSもコーラスでゲスト参加した2年半ぶりのニュー・アルバムとなる本作は、カリプソ、ファンク、ソウル、スカ、ジャズ、ラテン、ジャイヴなど良質なヴィンテージ・サウンドの美味しいところだけをヒップホップ的センスで採り入れ、イージーリスニング~ラウンジなインスト・スタイルを取りながらもそれをパンクなアティテュードで仕上げるといった、個性的すぎるユアソンならではの多彩な曲たちが今回もたっぷり収録されている。また、ディープでコアな要素を細か~いところでふんだんに使用ながらも、ポジティヴ性を前面に押し出した、聴き手を限定しないポップ・アルバムとなっているところも今作の特筆すべきポイント。さらに、イクところは徹底的にとことん熱く激しくイク、ヌクところはヨレヨレになるまでユル~くヌク、といったサジ加減も絶妙だ。先行シングル“あいつによろしく”をはじめ、歌モノが増えたのも今作の特徴だが、強烈なリズムとグルーヴとスウィートなメロディーによって通常の思考を原始的/本能的感覚に切り替えてノリ優先&勢い重視で発せられる、単純明快な単語の連呼や言葉にならない掛け声をみんなで連発するといった幼児ウケ必至な楽しいコーラス(?)も相変わらずサイコーにゴキゲンで楽しすぎる。
人が多すぎて情報過多でノイズが溢れすぎで朝から晩まで慌ただしくてクソ騒がしい大東京の日常生活のなかで、ジャンルも時代も国籍も問わない膨大な量のグッド・ミュージックを浴びるように聴きまくることによって、聴覚を通じて快楽を催す中枢神経を長年ずうっと刺激されつづけている、あれやこれやと小さな成功と多くの失敗を積み重ねてイイ味の出てきたイイ顔した三十路のイイ大人たちが、それでも小田急線に揺られながら夢想する〈愉快で陽気な南の音楽〉という、世界でも類を見ない独自のリアリティーが溢れているからこそ、泣けて笑えるこのアルバムはやたらとグッときてカッコいいのだ。
bounce (C)ダイサク・ジョビン
タワーレコード(2007年06月号掲載 (P72))
これは思わず歌わずにはいられないでしょ!
タイトルまんまのカリプソチューンも最高、
スカ、パンク、ラテン、ユアソンの傑作のアルバム!