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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2017年09月25日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | みすず書房 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784622085744 |
| ページ数 | 344 |
| 判型 | 四六 |
構成数 : 1枚
目次
精神科医がものを書くとき
隣の病い
国際化と日の丸
顔写真のこと
精神医学と階級性について
私に影響を与えた人たちのことなど
精神保健の将来について
統合失調症の陥穽
一夜漬けのインドネシア語
疎開体験に寄せて--佐竹調査官への手紙から
ワープロ考
外国語が話せるということ
ある臨床心理室の回顧から--故・細木照敏先生を偲びつつ
劇詩人としてのカヴァフィス
家族の方々にお伝えしたいこと
多重人格をめぐって
一医師の死
Y夫人のこと
ハンガリーへの旅から--1992年6月
ある少女
私の外来治療
戦時中の阪神間小学生
精神病棟の設計に参与する
オランダの精神科医たち
コラージュ私見
フェレンツィの死と再生
危機と事故の管理
新制大学一年のころ
クラス会に出る
治療文化論再考第一回多文化間精神医学会において
詩の基底にあるもの--その生理心理的基底
霧の中の英国経験論
解説4 最相葉月
掲載文・書誌一覧
夫人がどのようにして日本に亡命し、こうして悠々と暮らしておられるのか、私はついに知らない。アジアの人とつきあうには好奇心からの質問をしないのが、最低の作法である。どのようにして日本に亡命されたのかは、四半世紀のあいだ、私はついにうかがわなかった。仮にうかがっていても、ここに書かないだろう。
私は必ず「Yプイン(夫人)」と呼んで、決して「オモニ(母)」とか「ハルモニ(おばあさん)」とは呼ばなかった。そこに四半世紀のつきあいにも狎れない一線があった。実の母とは夫人とのように深い話をしたことはなかったが、そもそも親子とはそういうものかもしれない。夫人も、わが子には普通の「チマ・パラミ・オモニ(教育ママ)」ではなかったか。実の子ではありえない出会いであった。
(「Y夫人のこと」1993)
私には一つひとつの精神病院が違った下位文化に見える。病院ごとに匂いが違い、職員の「顔」が違い、何よりも患者の「顔」が違う。病院の「質」の判定は、建物よりも何よりも患者の「顔」が雄弁に、正直に物語っていると思う。
(「治療文化論再考」1994)
表題作はじめ、「精神科医がものを書くとき」「顔写真のこと」「ある少女」「精神病棟の設計に参与する」ほか32編を収録。

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