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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2023年02月03日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 名古屋大学出版会 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784815811105 |
| ページ数 | 454 |
| 判型 | A5 |
構成数 : 1枚
序 章 奇妙な「共和国の美術」成立史にむけて
1930年代の美術史人気
フランス美術史への覚醒と自覚
本書のタイトルについて
時代錯誤(アナクロニズム)と保守(コンサーヴァティヴ)の美術史編纂
本書の構成
第1章 「共和国の美術」前史
美術史の「連続性」の発見
第一共和政期の「革命型美術館」と美術史編纂のルーツ
王政期における「ナショナルな美術」の自意識
第二帝政期におけるフランスの伝統とレアリスムの発見
アカデミーと行政の対立と闘争
第三共和政前期、ナショナルな美術の顕彰のはじまり
高等教育機関におけるフランス美術史講座の誕生
「学問的ナショナリズム」とナショナル・アイデンティティ
中世美術史編纂の変貌――脱宗教化政策と学問的ナショナリズム
美術史の世俗化と政治的ナショナリズム
モリス・ドニ《フランス美術史》(1925年)にみる第三共和政後期の課題
コラム1 ルイ・クラジョと「戦闘的」美術史家のイメージ
第2章 マネ生誕百年記念展
――「革命的」画家の「保守」への変転
「マネの勝利」と「満場一致の承認」
保守的マネ解釈(1)――古典主義者としてのマネ
古典概念の変容
保守的マネ解釈(2)――マネと印象派との分離
保守的マネ解釈(3)――マネの「詩情(ポエジー)」とフランス性の創出
ジャモのマネ解釈とモリス・ドニ《フランス美術史》の親和性
マネの「名誉回復」とアカデミーの切り崩し
生誕百年と歴史のリセット
コラム2 ポール・ジャモと愛国的フランス美術史
第3章 ピカソからマネへ
――アナクロニズムの歴史編纂
古典的なマネ解釈と「モダンアートの父」
1932年のマネとピカソの偶発的邂逅
アンドレ・ロートによる「発見」
ルネ・ユイグによるフォーマリズム的マネ批評
クリスティアン・ゼルヴォスのマネ批判
ピカソ作品展への逆襲
ヴァルデマール・ジョルジュのマネ批判
批判の克服
ヴァルデマール・ジョルジュの影響
近代美術史認識の転換点
接近から克服へ
「新秩序」の思想から、マネとピカソへ
アナクロニズムの美術史編纂
コラム3 ルネ・ユイグとポストモダンの美術史編纂
第4章 19世紀絵画の「勝利」と「連続性」の創出
――1932年ロンドンのフランス美術展
忘れられたフランス美術展
「初めての」フランス絵画史の展覧会
「19世紀絵画の勝利」の展示空間
国際的舞台のなかの19世紀フランス絵画
展覧会の開催経緯
形式的「定数」によるミュゼオロジー――ヴァトー《ジル》とフランス美術の「肖像」
「連続性」の言論空間――実験的展示から言説へ
「連続性」からナショナリズムの言論空間へ
第5章 17世紀の「レアリスム」と逆遠近法の絵画史編纂
――1934年の「現実の画家たち」展をめぐって
なぜ17世紀だったのか
学術性と17世紀絵画史の修正
ロンドンのフランス美術展との「連続性」
ジャモと『フランス絵画』
17世紀のレアリスムとナショナリズムの射程
19世紀のレアリスム論と逆遠近法の美術史編纂
19世紀ナショナリズムの借用と隠蔽
「脱政治化」の政治学
コラム4 共和国の美術史編纂と学芸員の役割
第6章 ルーヴル美術館の再編と近代化のパラドクス
――1929年の印象派のルーヴル入りをめぐって
パラドクスのミュゼオロジー――「ルーヴル美術館の近代化」と「印象派の伝統化」
19世紀絵画室のミュゼオロジー
オランジュリー美術館における特別展
特別展による「顕彰と修正」と印象派の「敗北」
19世紀展示室の「近代化」とルーヴル美術館再編計画
美術館の近代化と傑作主義
美術展示の「二分化」とルーヴルの「不完全な」近代化
フランス絵画展示の再編成
「私有」コレクションの解体と共和国による「国有化」
愛されるフランス絵画史へ
コラム5 共和国の学芸員の多様性とルーヴル学院卒業生
第7章 モダンアートの行方
――リュクサンブール同時代美術館と「右でも左でもない」ミュゼオロジー
印象派「卒業」後のリュクサンブール
第五室の新たな展示とロベール・レイのプログラム
「保守」の変質
美術アカデミーの変質
「モダンと称される芸術」展示室の舞台裏
同時代美術と近代美術(モダンアート)の落差
「選別ではなく提示」――1920年代サロンの「同時代美術」
「凪の時代」の現状認識とポストモダンの...
自由を謳う、
王なき世俗国家で人々は
芸術に何を求めたのか
第二次大戦に向かう危機の時代に、中世宗教美術や王朝芸術から、マネや印象派などかつての前衛までを包摂するナショナルな歴史像が、刷新された美術館を舞台に創られていく。その過程を、担い手たる学芸員=「保守する人」とともに描き、芸術の歴史認識を鋭く問い直した力作。

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