ウィットと風刺的なストーリーテリングで知られる米ニューヨーク出身のアーティスト、キャロライン・ローズ。
スマッシュ・ヒットを記録した前作から3年、より激しい感情に溢れた5枚目のアルバム『ジ・アート・オブ・フォゲッティング』、リリース。
Caroline Roseはニュー・アルバム『The Art of Forgetting』を3月24日にNew West Recordsからリリースする。Roseはウィットと風刺的なストーリーテリングで知られるアーティストだが、この『The Art of Forgetting』で初めて、彼女の音楽は生で激しい感情に溢れたものとなった。これまでの作品の中でも垣間見ることができた、まるで告白のような正直さを持ち、後悔や悲しみ、喪失と変化、恥や痛みといったテーマの中に、Roseの持つユーモアが不意に顔を覗かせたりもする。一連の悲痛な出来事の後、Roseは新しいアルバムを作ることはおろか、ステートメントを出す気も起きなかった。それは、まさに熟考と変容の時で、Roseが考えるように、再接続と成長という緩やかな結合が起こったのだ。困難な別れに促され、ローズは内側に深く潜り始め、知らず知らずのうちに長く埋もれていた子供時代の経験を掘り起こすようになった。
「私たちの生活の中で記憶がどのように現れるのか、いろいろと考えさせられた。記憶は呪いのように感じられることもあれば、道具として使われることもある」とRoseは語る。このことを念頭に置き、Roseは、薄れゆく記憶や欠陥のある記憶の特徴を体現するデヴァイスやメディアを使ってアルバムを制作した。彼女は、木や弦の楽器、声、テープ、グラニュラーシンセシス等、時間とともに自然に変化したり朽ち果てたりする楽器に惹かれたのだ。Roseは自宅のスタジオで基本的なレイヤーのレコーディングを始めた。「そこから約1年間、自宅と他のスタジオの両方でレコーディングしたものを使って実験をした」とRoseは語る。こうして、ヴォーカル・アレンジのレイヤー、切り刻まれたアコースティック楽器、ドリーミ―なシンセが融合し、非常にダイナミックなサウンドスケープが作り出されたのだ。
発売・販売元 提供資料(2023/02/17)
フォークの界隈で名を上げたのち、アコギを爪弾きながら自作曲を歌うだけでは飽き足らず、シンセサイザーと共にトラック作りの可能性を追求しはじめたシンガー・ソングライターの5作目。オーケストラルな"Love / Lover / Friend"、インディー・ロック風の"Everywhere I Go I Bring The Rain"、ネオ・クラシカルな"Jill Says"、カントリー・バラードの"Where Do I Go From Here?"他、これまで取り組んできたさまざまなチャレンジがフォークからダークウェイヴまでという振り幅のなかで、インタールード3曲を含む全14曲に結実。大胆に音楽性を発展させてきたキャリアをアピールする集大成的な一枚に。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.472(2023年3月25日発行号)掲載)