1966年、香港。新聞記者で作家のチャウは、夜な夜なギャンブルと女遊びに暮れる日々を送っている。クリスマスイブの夜も、彼はクラブで馬鹿騒ぎに興じ、そこで昔シンガポールのクラブで会ったダンサーのルル/ミミに出会い、彼女のホテルに同行する。数日後、チャウは再びホテルを訪ねるが、彼女は嫉妬深い年下の恋人に刺され、部屋を引き払った後だった。彼はその部屋番号「2046」に惹きつけられ、その隣の部屋を借りることに。やがて2046号室にバイという若いダンサーの女性が越してくる。チャウとバイの仲は次第に深まるが、徐々に本気になる女に対し、男は決して一線を越えようとしない。結局バイはチャウの前から姿を消す。
チャウには、かつて香港である女性を愛した過去がある。シンガポールにいた頃のチャウは、その失恋の痛手を振り払うかのように、ギャンブルに明け暮れ、借金を抱えていた。そんな彼を救ったのは、いつも左手に黒手袋をした賭博師の女、通称「黒蜘蛛」。驚くことに、彼女の本名はチャウがかつて愛した女と同じスー・リーチェンだった。ふたりは惹かれ合いながらも結局別れを告げる。
一方、現在のチャウが泊まるホテルでは、若者たちの恋が進行中だ。ホテルの支配人の娘ジンウェンは、日本人の恋人タクとの付き合いを父親に猛反対され、こっそりと文通で愛を育んでいる。彼らの様子に興味を持ったチャウは、恋人たちをモデルに『2046』というSF小説を執筆し始める。小説の中の登場人物たちは《2046》という謎の場所を目指し、ミステリートレインに乗り込む。《2046》に行けば、"失われた愛"をみつけることができるというが……。