ブルース・スプリングスティーン『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』
2年振り通算21作目の新作はボスが謳う、スウィート・ソウル・ミュージック。
ブルース・スプリングスティーンが2020 年発表『Letter To You』以来2年振り通算21作目となるニュー・アルバム『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』を発売する。新作はモータウン、ギャンブル&ハフ、スタックスなど伝説的なカタログからの珠玉のソウル・ミュージックを称えるものになる。
ブルース・スプリングスティーンは次のようにコメントしている。「ただ歌うだけのアルバムを作りたかったんだ。60年代と70年代の偉大なアメリカン・ソングブックより素晴らしい音楽なんてあるだろうか?リーヴァイ・スタッブス、デヴィッド・ラフィン、ジミー・ラフィン、アイスマン・ジェリー・バトラー、ダイアナ・ロス、ドビー・グレイ、スコット・ウォーカーなど、多くの人からインスピレーションを得たんだ。彼ら全員と、この輝かしい音楽の素晴らしい作曲家たちに対して正義を貫こうと思った。私が初めて聴いたときからそうであったように、現代の聴衆にもその美しさと喜びを体験してもらうことが私の目標だ。私がこの作品を作るのを愛したように、みんなにもこれらの曲を聴いて気に入ってもらえるといいな」
『オンリー・ザ・ストロング・サヴァイヴ』は、テンプテーションズ「雨に願いを」、シュープリームス「またいつの日にか」、ウォーカーブラザース「太陽はもう輝かない」、ベン・E・キング「ドント・プレイ・ザット・ソング」他、ブルース・スプリングスティーンが青春時代に聴いていた極上のスウィート・ソウル・ミュージックの数々を15曲収録。Eストリート・ホーンズや、ゲスト・ヴォーカルとしてサム・ムーア、バッキング・ヴォーカルとしてスージー・タイレル、リサ・ローウェル、ミシェル・ムーア、カーティス・キングJr.、フォンジー・ソーントン、デニス・コリンズが参加。フル・ストリング・アレンジはロブ・マテス。ニュージャージー州のThrill Hill Recordingで録音され、ロン・アニエッロがプロデュース、ロブ・リブレットがエンジニア、ジョン・ランダウがエグゼクティブプロデューサーを務めている。このリリースは、ブルース・スプリングスティーンにとって、11カ国で1位を獲得した2020年の『Letter To You』(コロンビア・レコード)以来通算21作目となるスタジオ・アルバム。スプリングスティーンは2023年2月から伝説のEストリート・バンドとともにワールドツアーを開催する。
発売・販売元 提供資料(2022/09/30)
2年ぶりの新作はボスが愛するソウル・クラシックを歌ったカヴァー集だ。60年代後半のヒットを中心とした選曲で、先行披露していたフランク・ウィルソンのノーザン・ソウル古典"Do I Love You(Indeed I Do)"を含めモータウンの曲が目立つが、表題となったジェリー・バトラーのギャンブル&ハフ制作曲やタイロン・デイヴィスのシカゴ・ソウルなども登場。コモドアーズの85年ヒット"Nightshift"はソウル偉人を偲んだ原曲の意図も踏まえてのチョイスだろう。ロン・アニエッロと制作したトラックはオリジナルのアレンジに忠実で、思い入れたっぷりに力強い声を放つ73歳のボスからは歌う喜びがひしひしと伝わってくる。ウィリアム・ベルとドビー・グレイの曲では盟友サム・ムーアを迎えて快唱。終始晴れやかだ。
bounce (C)林 剛
タワーレコード(vol.468(2022年11月25日発行号)掲載)