香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―実力派ピアニスト深貝理紗子、待望のメジャーデビュー!サティ、ドビュッシー、ラヴェル、日本初録音のダンディまで、魅惑の音色に陶酔する、必聴の一枚! (C)RS
JMD(2022/09/16)
香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―実力派ピアニスト深貝理紗子、待望のメジャーデビュー!
サティ、ドビュッシー、ラヴェル、日本初録音のダンディまで、魅惑の音色に陶酔する、必聴の一枚!
透き通るような音色と知性、独創的な感性を持ったピアニスト深貝理紗子が待望のCDデビューを飾る。パリで研鑽を積んだ彼女は幅広いレパートリーを携えているが、なかでもフランス近現代音楽でその研ぎ澄まされたエスプリを発揮する。詩情溢れるプログラムから彼女の真摯な演奏スタイルを通し、フランス音楽特有の色と香りに包まれることだろう。
隠れた名匠ヴァンサン・ダンディの『山の詩』は日本初録音である。自然の美を称え、作品の最後には妻への愛が描かれる。深貝は風通しの良い立体的な響きのなかに、軽やかな遊び心と人間らしい激情を織り交ぜていく。美しい旋律は選び抜いた言葉で慈しむように奏でられ、長大なドラマを見たような充実感を残す。この演奏を聴いたら、ドビュッシー、ラヴェル、サティに繋がるダンディがなぜ今まで認知されてこなかったのか不思議に思うはずだ。
「フランス独自の音楽を確立しようという愛を感じる」と深貝が語るドビュッシーの『ピアノのために』は、パンチの効いたテクニックと輝かしい音色に満ちている。五音音階などの新しい旋法に加え、バロック懐古のスタイルを取ったこの作品は、確かに音楽史上ひとつの分岐点と言えるだろう。手の内に入った演奏は並々ならぬ意欲を感じさせ、心地よい快感を煽る。
隅々まで神経の行き届いた響きにハッとせざるを得ない。難曲として知られるラヴェルの『鏡』は技巧を忘れるほどに詩的で風情溢れる演奏である。絶妙なスパイスとこの上なくデリケートな表現を、余すことなく抽出した録音になっている。とりわけ『悲しき鳥たち』と『鐘の谷』の深い趣は、深貝の繊細な感受性ならではだ。「標題の描写の裏に孤独な人間の心情がある」と話す通り、端正な構成美に多彩な表現が宿っている。
プログラムの合間合間に置かれたサティは最も特徴的である。これは数年来かけて深貝が取り組んできた「サティの家具性の抽出」に対する実験なのだ。サティといえばBGMの先駆けであり、「家具のように邪魔にならず、心地よさを与える音楽」を目指していた作曲家である。単独で置かれてはサティの意に反して「主役」として聴かなければならず、ただおまけのように添えられては「家具」にはなりきらない、という葛藤の末にこのようなプログラム配置にしたのだと言う。これを聞いただけでも、深貝が作品及び作曲者に対して真っ向から向き合い、表現者として強い意志を持っていることが窺える。
香るエスプリ、彩るスパイス、詩情を纏った心地よさ―期待の才媛が繰り広げる「実験」の「目撃者」となるが如く、必聴の一枚である。
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発売・販売元 提供資料(2022/09/05)
■深貝 理紗子 Risako FUKAGAI■
東京音楽コンクール第2位、ショパン国際ピアノコンクール in ASIA コンチェルトC部門アジア大会ブロンズ賞、フランスピアノコンクール第1位、C.カーン国際音楽コンクール第3位、J.フランセ国際音楽コンクール入選など国内外で受賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院の最高高等演奏課程に授業料全額免除奨学生として在籍し卒業。パリ・スコラ・カントルム音楽院ヴィルトゥオーゾ課程及びコンサーティスト課程を審査員満場一致の最高評価を得て首席で修了。
これまでに下野竜也氏、川瀬賢太郎氏などの指揮のもと東京交響楽団などと共演。東京文化会館や岩崎ミュージアム・山手ゲーテ座、渋谷美竹さろん(旧・美竹清花さろん)主催公演をはじめとして多数のコンサートに出演。皇居での御前演奏や、フランス「世界文化遺産の日」を記念する文化財でのデモ演奏、パリ市内「若手指揮者育成のためのワー
クショップ」公式ソリストなども務めた。
これまでに横山幸雄、オリヴィエ・ギャルドン、島田彩乃、大西真由子の各氏に師事。レパートリーはバロックから現代音楽の新曲初演まで。特にフランス近現代音楽と周辺文化全般を交えた取り組みを展開している。現在演奏活動の傍ら、コンクールの審査員や主宰音楽教室、インターナショナル音楽教室にて後進の育成とクラシック音楽の普及に尽力している。
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発売・販売元 提供資料(2022/09/05)