ブラジルを代表するピアニスト/作編曲家となりつつあるハファエル・マルチニが新作『Martelo』をリリース!ジャズ、ポピュラー、室内楽、電子音楽。あらゆる音楽をのみこむ複雑なアレンジと、アコースティック/エレクトリック混成セクステットによる緊密にして奔放なアンサンブルはまさに圧巻。アントニオ・ロウレイロ、ジョアナ・ケイロスも参加! (C)RS
JMD(2022/09/08)
ブラジルを代表するピアニスト/作編曲家となりつつあるハファエル・マルチニが新作『Martelo』をリリース!ジャズ、ポピュラー、室内楽、電子音楽。あらゆる音楽をのみこむ複雑なアレンジと、アコースティック/エレクトリック混成セクステットによる緊密にして奔放なアンサンブルはまさに圧巻。アントニオ・ロウレイロ、ジョアナ・ケイロスも参加!
現代ブラジルが誇るマエストロとなりつつあるハファエル・マルチニが、長年構想してきたプロジェクトが本作『Martelo』だ。楽曲はいずれも自作曲(一部共作含む)で確固たるコンセプトに基づいている。例えばタイトル曲「Martelo」は、アルツハイマーが進行した自身の母との経験から生まれたもの。反復、拡張と伸縮、記憶の消去や構築といったテーマから作られた、テクスチャーとリズムの万華鏡のような楽曲だ。
演奏するのはアコースティック/エレクトリック混成の異形ともいえるセクステットである。メンバーはハファエル・マルチニ(ピアノ/シンセサイザー)以下、ジョアナ・ケイロス(クラリネット/バス・クラリネット)、ルカ・ミラノヴィック(ヴァイオリン)、フェリペ・ジョゼ(チェロ)、アントニオ・ロウレイロ(ドラムス)、ペドロ・ドゥランエス(エレクトロニクス)といったミナスを代表する俊英ばかり。とりわけ本作の共同プロデューサーでもあり、クリストフ・シルヴァの傑作『Deriva』(2013)なども手掛けた電子音楽家ペドロ・ドゥランエスの存在は、これまでのマルチニ作品になかったエッセンスを随所にもたらしている。と同時にエレクトロニック・ミュージック的なテクスチャーをニュアンス豊かなドラミングで表現することができるアントニオ・ロウレイロの参加も、本作のキーポイントと言えるだろう。
録音はヴィンテージ・シンセから最新機材まで、膨大なコレクションを誇るブラジルのスタジオ「New Doors Vintage Keys」にて敢行。本作の構想自体は少なくとも2017年にはある程度出来上がっていたようだから、そこから5年という歳月をかけて、じっくりと形にしていったことがうかがえる。マルチニが夢想し追い求めた、あらゆる音楽をのみこむ緊密にして奔放なアンサンブルは、ここに結実。現実と非現実をスリリングに行き来しつつリスナーを深遠な体験へと導く、至極の5曲だ。
発売・販売元 提供資料(2022/09/07)
現代のブラジル、ミナスのシーンを牽引するコンポーザー、マルチ奏者であるハファエル・マルチ二名義での新作。同じくミナス出身で世界的に活躍するアントニオ・ロウレイロや、この界隈では欠かせないクラリネット奏者/コンポーザーのジョアナ・ケイロスも参加。現ブラジル音楽シーン随一の鬼才が一堂に会した本作は壮大にして緻密。自由でありながら完璧に統制されたサウンドは予測不能。あらゆる音楽性が詰め込まれた全5曲、一聴しただけではその全貌が全く掴めない情報量の多さに脳が痺れます。ヴァイオリンの主旋律からスリリングに展開していく(1)は必聴です!
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.160(2022年10月10日発行号)掲載)