ANOTHER LIFE

S/N Alliance海外アーティスト第一弾!
演奏家、作曲家として似た様な音楽性と美学を持つ二人のピアニスト、ダン・キャヴァナーとジェームス・マイリーが、響かせる二台のピアノ。
その美しく透明な空間に、ジョン・ホーレンベックが紡ぐドラムの音色が魔法をかける。

キャヴァナーの教え子でもある福盛進也主宰レーベルより三作目としてリリースされる"Another Life"は、海を超え、時を経て、新たな物語の扉を開く。

旧友であり、共に名高い大学の音楽科にて教鞭を執り続け、作編曲家としても広く活躍しているキャヴァナーとマイリー。2018年に、予てより計画していた二台ピアノコンサートのライブ録音を行いましたが、そこでの音世界の美しさは録音には反映されずリリースは断念。それを機に、改めてスタジオアルバムの制作を企画し、2019年12月に、共に学んだ地であるオレゴン州にあるスタジオで遂に録音を開始。当初のコンセプトとして "Another Life"とは「空想」や「かつてなかったこと」をテーマにしていました。

レコーディング後、シンセサイザーを追加していく工程に移ったタイミングで、新型コロナウイルス感染症が世の中を席巻し始め、制作を一時中断。その後、数ヶ月の時を経て再開し始めた時、電子音ではなく実際のドラムの音が必要だと確信し、以前から二人が親交のあったドラマー、ジョン・ホーレンベックに声を掛け参加が決定。

グラミーの受賞歴もあり作曲家としても高く評価されている、唯一無二の存在であるホーレンベックの音色は、まるでその場で共に演奏したかのように寄り添い、呼吸し、みずみずしい色彩を作り出しました。こうして三人の音楽は大きな変化を遂げ、この変則トリオとしての完成形へと導かれました。

パンデミックの中で経験した制作だからこそ生まれた偶然の重なり。当初のコンセプトから"Another Life"は複数の意味を持ち始め、キャヴァナーはそれを「国を超えた人と人との繋がりを通して、僕たちひとりひとりが実体験する人生の多様性」と語っています。

ピアノデュオのレコーディングでは、KAWAIの計らいで二台のShigeru Kawai SK-3が用意されました。職人の手により丹念に作られたその二台のピアノによって、それぞれの個性が、綿密に練られたアレンジの中でより重層的に美しく絡み合います。

オリジナルから斬新なアレンジのカバー曲、そしてインプロビゼーションまでも含む今作品は、演奏家としてだけではなく、作編曲家としての才能も遺憾なく発揮し、新たな芸術性を開花したキャヴァナーとマイリーによるマスターピースです。

かつてキャヴァナーの教え子だった福盛進也のレーベル、S/N Allianceからこのアルバムがリリースされたことは、とても運命的なことです。この時代に、この世の中だからこそできあがった作品であり、キャヴァナーが語る通り、「人と人との繋がりを深める大きな力を秘めた」音楽だからです。