緻密なアーティキュレーションが大きなうねりを生むベートーヴェン体験。
今ヨーロッパで熱い注目を浴びる指揮者アントネッロ・マナコルダ。トリノで生まれ、名手クレッバースやグッリに学んだヴァイオリニストとしてスタート。アバドの片腕としてマーラー室内管やルツェルン祝祭管のコンサートマスターとして活動後指揮者に転向。2011年からはカンマーアカデミー・ポツダム(KAP)首席指揮者として、この室内オケを瞬く間にヨーロッパ有数の団体へと成長させています。
弦楽パートにはピリオド奏法を、金管楽器とティンパニには古楽器を採用し、溌剌とした生命力と歌心に富む演奏が繰り広げられ、弦楽パートを中心に精緻なアーティキュレーションが施されているのもヴァイオリニスト出身ゆえ。シューベルト、メンデルスゾーンの全曲演奏・録音を完成させてのベートーヴェン交響曲全集の第1弾で、2024年に完成予定。極めて情報量が多く作品が新たな輝きを放つかのようです。
全集のアートワークにはヨーロッパで活躍するアーティスト、ヨリンデ・フォークトの作品が使われています。
「ベートーヴェンの交響曲全集を録音しようとする者は誰もが、『その必要はあるだろうか』と問うことになります。だから私たちは待ったのです。6~7年前、ポツダムである週末に一気に9曲を演奏しました。演奏の準備に必要な集中力のことを考えると、短い間に一気に演奏する必要がありました。それ/は得難い経験で、五日録音したいとも思っていました。シューベルトの交響曲全曲は、ベートーヴェンよりは数が少なく、すぐにとりかかることができました。メンデルスゾーンはさらに全集が少なかったから躊躇はなかった。今年は私がKAPに来て12年目。今やベートーヴェンのための時が熟したのです。全集の第1弾は交響曲第1番・第2番と第7番で、パンデミック中にセッションで収録しました。屋内でオーケストラとしての演奏が許可されるや否や、すぐに始めました。私たちが録音するときは、何らかの意見を表明するのではなく、疑問を投げかけるのです。リハーサルでは初めて作品を見るように臨みます。プロデュースはクリストフ・フランケに担ってもらいました。彼はまるでピアノで連弾しているように意思疎通が図れるのです。セッションでは細かな収録を行いましたが、その中でごく少ない知人を招いてコンサートのように通しで演奏しました。作品のコンセプトを理解するうえで、これがとても大切でした。」(アントネッロ・マナコルダ)
アントネッロ・マナコルダは1970年トリノ生まれの指揮者。ヴァイオリニストとしてスタートし、1997年アバドとともにマーラー・チェンバー・オーケストラを創設、2005年までコンサートマスターを務める。その後指揮者に転じ、欧米の一流オケ・歌劇場で指揮。2010年~カンマーアカデミー・ポツダム首席指揮者。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2022/08/26)
It takes a lot to stand out from the crowd of recordings of these three Beethoven symphonies, but the Kammerakademie Potsdam and its conductor, Antonello Manacorda, do the job. The orchestra has about 25 players; this is small for a Viennese concert environment of Beethovens time, but certainly, the symphonies (the Symphony No. 7 in A major, Op. 92, perhaps less often) would have been played sometimes by a group of this size. The orchestra uses modern instruments except for the horns, trumpets, and trombones, which are typical of the period. The textures are unusually transparent, and the lightness of the ensemble serves the first two symphonies exceptionally well. Consider the Scherzo of the Symphony No. 2 in D major, Op. 36, which is almost always, by modern and historically oriented groups alike, taken with a heavy step as an anticipation of middle-period Beethoven. Here, the music is closer to the original sense of the word "scherzo," meaning joke. The Symphony No. 7 may work less well, but try it out; Manacorda offers a lithe performance in which he pushes the tempo periodically to increase the energy level. At no point are these readings anything less than interesting and distinctive, and who knows, they may be original enough to provide templates for performances going forward. ~ James Manheim
Rovi
指揮のマナコルダは、指揮者クラウディオ・アバドのもとマーラー室内管弦楽団でヴァイオリンを弾いていた経験がある。その影響を随所に感じさせるベートーヴェン・シリーズの第1弾。交響曲第1番、第2番、第7番の3作品。速めながら無理のないテンポで、弦楽器が明るくよく歌う演奏。木管楽器も流麗に吹かれ、耳に届く。フレッシュさが前面に出た快演。交響曲第7番が特にその特徴がでた内容となっている。マナコルダが、シューベルトとメンデルスゾーンの交響曲全集の録音で高い評価を得て、その自信を背景に満を持して開始したプロジェクト。続編にも期待したい。
intoxicate (C)雨海秀和
タワーレコード(vol.161(2022年12月10日発行号)掲載)
はつらつさがあり、きびきびしています。彫刻のような、音の造形美を感じます。
余すところなく曲の魅力を伝えています。