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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2020年07月15日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 白水社 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784560097762 |
| ページ数 | 330 |
| 判型 | 46 |
構成数 : 1枚
序
第一部 生涯
1 「緋色の生まれ」
2 幻想の皇帝歓呼
3 弟ヨハネス
4 少女時代への別れ
5 政略結婚
6 父の死と帝位継承問題
7 陰謀と和解
8 瀟洒な独居房
9 学問の世界に
10 『アレクシアス』と死
第二部 作品
1 越境する歴史学──執筆戦略──
(1)歴史書らしからぬ歴史書
(2)歴史学の伝統
(3)アンナと歴史学
(4)歴史書の制約
(5)頌詞の魅力と限界
(6)英雄叙事詩と悲劇
(7)聖人伝または自伝
(8)アンナ・コムネナの挑戦
2 戦い続けた「平和の人」──願いを込めて──
(1)戦争の歴史『アレクシアス』
(2)卑怯な父?
(3)オデュッセウスの復権
(4)軍人皇帝の戦争賛歌
(5)戦術書の伝統
(6)戦争と平和の交錯
(7)異教徒との戦い
(8)アンナの涙
(9)平和言説のゆくえ
3 「なぜ?」という問いかけ──原因・運命・摂理──
(1)歴史の娘?
(2)原因と運命の相克
(3)ビザンツ歴史家の苦悩
(4)『アレクシアス』における原因の追究
(5)皇帝批判の限界
(6)悪しき運命と善き摂理?
(7)アンナの「なぜ?」
4 歴史家の仕事──史実の追究──
(1)歴史学の条件
(2)史料から歴史へ
(3)信頼できる年代
(4)アンナ・コムネナの歴史学
跋
アンナ・コムネナをめぐる人々
コムネノス家・ドゥーカス家系図
ビザンツ皇帝一覧(九七六~一二〇四年)
あとがき
図版・地図一覧
参考文献抄
歴史学はなんのためにあるのかビザンツ歴史文学の最高傑作を読み解く
歴史が男の学問とされていた時代に、ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を記した、皇女の生涯をたどり作品を分析する。
皇女にして、西洋古代・中世でただひとりの女性歴史家
歴史学は何のためにあるのだろうか?
私たちがより良い未来を生きるためである。
しかし辛い日々を送る者にとって、歴史学が生きる糧となることもあった。歴史学が男の学問だった西洋古代・中世にあって、アンナ・コムネナは、不幸な我が身への慰めを歴史学に見いだした。
ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を描いた『アレクシアス』は、こうして誕生した。
権威ある「緋色の生まれ」としての誇り。
皇帝である父への敬愛。皇妃となっていたはずの人生。ヨハネス二世となる弟との確執。
アンナは、政治や戦争といった公のことがらについて真実を伝えるのが歴史家の務めであることを承知のうえで、自身の人生や溢れくる思いまでも歴史書に盛り込んだ。
本書は、第一部でアンナ・コムネナの数奇な生涯を語り、第二部では、ビザンツ歴史文学の最高傑作と言われる一方で批判も受けてきた『アレクシアス』を、ビザンツの歴史学や歴史書の性格、ビザンツ知識人にとって歴史学とは何だったのかという文脈から分析する。
そして、長らく指摘されてきた年代の誤りの謎や、世界の翻訳者たちが苦心してきた不可解な記述の謎をも考察していく。

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