デビュー作からすべてのアルバムで全英1位を記録するなど、名実ともにUKロックの最高峰に君臨するアークティック・モンキーズが待望のニュー・アルバム『The Car』を〈DOMINO〉からリリース。
バンドにとって7枚目のスタジオ・アルバムとなる本作『The Car』は、フロントマンのアレックス・ターナーが書き下ろした10曲の新曲を収録。2009年の『Humbug』以来のパートナーであり、ゴリラズやフォールズの作品にも携わるジェイムス・フォード (シミアン・モバイル・ディスコ)がプロデュースを担当し、サフォークのスタジオ【Butley Priory】、ロンドンのスタジオ【RAK Studios】、パリのスタジオ【La Frette】でレコーディングされた。2018年の『Tranquility Base Hotel + Casino』以来となる『The Car』は、アークティック・モンキーズのサウンドが更なる領域へ到達したことを証明するように、豪華なオーケストレーションが生み出す音楽風景の中で、彼らが自由にたち振る舞う姿を描き、アレックス・ターナーのキャリアを通して最も芳醇で完成度の高いヴォーカル・パフォーマンスが収められている。
国内盤CDおよび日本語帯付き仕様LPには歌詞対訳解説が封入される。
発売・販売元 提供資料(2022/08/24)
賛否両論だった前作からラウンジーかつゴージャスな意匠を継承しつつ、さらに優雅に、さらに美しく磨き上げたアルバムだ。それはアレックス・ターナーを中心とする4人が、このシックで麗しい音を、何の無理もなく着こなしていることを意味する。先行曲"There'd Better Be A Mirrorball"を含む大半の曲は、バカラックを彷彿とさせる華麗なストリングスと鮮やかな転調を配したオーケストラル・ポップ。その爛々とした輝きのなか、ブリストル・サウンドにヒントを得たかのような"Sculptures Of Anything Goes"やクールなモッド感を持つ"I Ain't Quite Where I Think I Am"が、艶やかに黒を映えさせる。アレックスの裏声もすっかり板についており、ここまできたらもう次のボンド映画のメインテーマを歌うのは、彼らしかないのでは。
bounce (C)田中亮太
タワーレコード(vol.467(2022年10月25日発行号)掲載)