ストーンズがそのクリエイティヴィティの頂点を見せつけた60年代の傑作
ブライアン・ジョーンズ脱退、ミック・テイラー参加という過渡期にありながらも、そのクリエイティヴィティの頂点を見せつけた、1960年代デッカ期の最後を飾るスタジオ作にして、最高傑作の一つ。ライ・クーダーらのゲストを迎え、腰のすわったルーツロックを聴かせる。(1969年作品)
タワーレコード(2024/06/26)
ブライアン・ジョーンズの脱退という激動のなか制作されながら全英1位、全米3位を記録した名作。カスタム・インナー・スリーヴ付。モノ識別ホールも再現。 (C)RS
JMD(2022/08/24)
ザ・ローリング・ストーンズが1960年代に発表したオリジナル・アルバム12作品をMONO音源/紙ジャケット仕様で発売!
ブライアン・ジョーンズの脱退という激動のなか制作されながら全英1位、全米3位を記録した名作。カスタム・インナー・スリーヴ付。モノ識別ホールも再現。
[1969年発表]
(1)アブコ・レコーズが承認したジャケット・アートワークを使用
(2)日本初回盤LP帯をミニチュア再現した帯付
(3)オリジナル・モノ・テープからのボブ・ラドウィックとテリ・ランディによる2016年リマスタリング、MONO音源/SHM-CD仕様
(4)解説・歌詞対訳付
(5)完全生産限定盤
発売・販売元 提供資料(2022/08/23)
オリジナル アルバムとしてはロンドン/デッカ時代最後となった69年の作品。ブライアン脱退、ミック・ジョーンズ初参加etcのゴタゴタをものともせず、ライクーダーらのゲストを迎え、腰のすわったルーツロックを聴かせる。同名映画を象徴するような(1)、カントリータッチの(3)etc。 (C)DaKaRa
タワーレコード(2002/10/09)
1曲目の一触即発な惨状が描かれた「ギミー・シェルター」からヤバい。金切り声のコーラスも過剰演出気味ではあるが、これくらいやらないと戦慄の光景を目の当たりにした切迫感と緊張感は伝わらない。
「むなしき愛」には”虚しさ”というよりも、”空しさ”を感じる。
「カントリー・ホンク」でひと息つけたと思ったら、「リヴ・ウィズ・ミー」のベースラインがグイグイと攻めてくる。先行して聴いたライヴ盤のリフの”圧”が凄まじかったので、やや大人しい印象を受けたが、飛び道具のサックスを絡めてくるなど、攻撃の手は緩めてはいない。
個人的なハイライトはタイトル曲だ。静かな生ギターに始まり、ミック・ジャガーの粘っこい歌い方と相乗するように、圧力と熱量は上がっていく。音場の濃度は高まり、毒性は強くなる。もはや”ただのロックン・ロール”ではない。一度入ったら抜け出すことのできない”沼”に引き摺り込まれていくみたいだ。このまま"依存"を続けていたら、すべてを搾り取られてしまう。
「ミッドナイト・ランブラー」も”通りのファイティングマン”以上に危険だ。深夜の闇は深く、妖しい。
続く「ユー・ガット・ザ・シルヴァー」は「むなしき愛」以上に”Vain”だ。アルバムで最もポップでコマーシャルな「モンキー・マン」でさえ甘い罠が潜んでいる。ドラッグの匂いのする猿男に気を許してしまうと痛い目に遭うことになる。
ラストの「無情の世界」も滑り出しは牧歌的で穏やかだ。しかし、ミック・ジャガーが世界を変える。シュプレヒコールのように繰り返されるフレーズがクライマックスを迎えるとき、男女混成の合唱隊は「ヘイ・ジュード」のリフレインよりもエネルギッシュでエキセントリックにコーラスを被せてくる。そして、見事なまでにストーンズのロックン・ロールと融合するのだ。歌詞に込められたメッセージは前向きだし、シンプルだし、ストレートに心に響く。歌われている”世界”は決して”無情”ではない。
余談だが、映画『再会の時』の冒頭、教会での葬儀のシーンで、"故人が生前愛した曲"として友人の女性がピアノ演奏していたのが、他でもない、この「無情の世界」だった。