Last time around, Conor Oberst -- who for all intents and purposes, is Bright Eyes -- shoved all of his interests into one long, overstuffed epic, but with the simultaneously I'm Wide Awake, It's Morning and Digital Ash in a Digital Urn, he separates the country-rock on the former and the messy modernistic indie rock on the latter, as if to counter the criticisms that he can't focus. I'm Wide Awake is designed as a nakedly honest singer/songwriter album, somewhat inspired by the classics of the genre in the '70s -- he even recruits Emmylou Harris for some harmonies, hoping that some of the Gram Parsons' magic will rub off. Stripped of the careening, dramatic, arrangements of Lifted, Oberst's music seems simpler, and while his voice -- a quavering bleat that's halfway between Feargal Sharkey and the Dead Milkmen's Rodney Anonymous -- is an acquired taste; fans will find this to be his most direct album yet. ~ Stephen Thomas Erlewine
Rovi
コナー・オバーストはもともと多作だから、2枚同時リリースと聞いて驚く人は少なかったと思う。が、ただでさえ内から流れ出た言葉を整理せずに詰め込む人だ。そのぶん膨大な量の言葉と向き合うことを覚悟して聴いていただきたい。共に現在の米国と世界を巡る状況を背景にしている2枚のアルバムのうち、まず『I'm Wide Awake, It's Morning』はこれまでの作品の延長上にあるルーツ・ロック作品。こちらは、緊急事態にあることを踏まえて、日常生活のなかに小さな幸福や真理を見い出してゆく寓話集といえるかもしれない。そんな生活感溢れる心象風景に彼はポリティックスを自然に絡め、端々がほつれたような未完成な声と言葉で、自分を揺さぶる感情を生々しく伝えている。まるで、頭の中を駆け巡る考えや情報を消化し切れない焦燥感を、〈生きていること〉の証として誇らしく掲げるかのように。一方の『Digital Ash In A Digital Urn』では(ローファイではあるものの)初めて電子音を導入。歌としての印象はさほど違わないが、全体的にメランコリックな空気が漂い、タイトルにある〈灰〉と〈骨壷〉が示唆するとおり〈死〉というテーマに貫かれているように思う。つまり前述の〈生きていること〉を別の視点から眺めて、表裏両面を描いているのではないだろうか? 辿り着く結論も同じだ。覚醒して世界の行方を見つめながら、人を愛し、喜びを分かち合い、限りある人生を精一杯生きること。それこそが、抑圧者に対する最大の反抗の意思表示なのだ、と。
bounce (C)新谷 洋子
タワーレコード(2005年03月号掲載 (P62))
ブライト・アイズ=コナー・オバーストは、デビュー時からみずからの中にある2つのアイデンティティーに左右から引っ張られていたところがある。ポール・サイモンやボブ・ディランに影響を受けた自分と、ニルヴァーナがブレイクしたころに曲を作り始めたという自分と。そして、これまではその両方で均衡をとっていたコナーもついに1枚では集約しきれなくなったのか、完全にスタイルを分けた2枚のアルバムを同時に発表した。プロデューサーはどちらもこれまで同様にマイク・モギスだが、先に完成させていたという『I'm Wide Awake, It's Morning』のほうにはエミルー・ハリスが客演しているように、前作『Lifted Or The Story Is In The Soil, Keep Your Ear To The Ground』のオルタナ・カントリー色を抽出したような素朴な仕上がりになっている。コナーのシンガー・ソングライター的資質は、こちらのほうに強く出ているといえるだろう。一方で『Digital Ash In A Digital Urn』のほうは音の加工や装飾に腐心した跡が窺える、いびつなおもしろさが浮き彫りになった1枚。ヤー・ヤー・ヤーズやポスタル・サーヴィスのメンバーらの参加は、彼がネブラスカ一派からさらに交友範囲を広げている事実を伝えるものでもあるが、なによりスタジオ作業も楽しめる彼の一面が伝わってくる。だが、どちらの作品でも起承転結がハッキリしているコナーのメロディーメイカーぶりは健在。いまどき珍しいくらいに、明確な旋律と展開を持った曲を書くことができる希有な存在であることを痛感できるはずだ。
bounce (C)岡村 詩野
タワーレコード(2005年03月号掲載 (P62))