稀代のリリシストHAIIRO DE ROSSI の通算9 枚目となるアルバム。盟友Pigeondust をエグゼクティブプロデューサーとして迎えOlive Oil という鉄板のメンツから、forte 所属のManakurv、そしてCoga Atsushi, LILZAM 等、新たな才能のビート群も力強くその進化を後押しする。 (C)RS
JMD(2022/08/26)
- 俺たちは生きてる -
稀代のリリシストHAIIRO DE ROSSI の通算9 枚目となるアルバム「Revelation」
盟友Pigeondust をエグゼクティブプロデューサーとして迎えOlive Oil という鉄板のメンツから、forte 所属のManakurv、そしてCoga Atsushi, LILZAM 等、新たな才能のビート群も力強くその進化を後押しする。
客演を多数招いた前作から一転、今尚高い人気を誇る楽曲Seasons of Loveで共演したシンガーのTSUNEI のみの客演となった今作のラップは未だかつてないほどにソリッドに仕上がっている。全体のバランスをPigeondust が統括し、差し込まれる音の数々が音楽作品としての強度を上げている。そしてなんと言っても特筆すべきはそのリリックの精度である。現代社会の膿を抉り出すリリックは単にタイムリーや攻撃的なわけでなく、縦横無尽にドライブするフローと共にこの上なくリリカルに紡がれる。幾重にも重ねられたミーニング、繊細で綿密なライミング、そして核心をつくパンチラインの連続。この作品こそ有能なライターや耳の肥えたリスナーの分析が積極的にされるべきだろう。
発売・販売元 提供資料(2022/08/24)
〈これは人生ってキャンバス使ったアート〉("This Is My Life")というリリックの通り、まるでヒップホップにその身を捧ぐ彼の生き様がそのまま刻まれたかのような9作目。盟友のPigeondustをエグゼクティヴ・プロデューサーに迎え、Olive OilやManakurvらも助力したビートのローファイやジャジーに終始しないドープな広がりを、世情への怒りや憂いを鋭く差し込みながら前進する力に転化するリリシズムは本物だ。みずからの闇と病みを内省する"Meets Evil"Sea of Tranquility"を経て、TSUNEIの力強い歌声を含めて厳しくも美しい肯定に満ちた"Self-Respect"、〈俺は楽しく生きる事にした〉と上向きに語る"Love is the Message"へと至る、その道程こそが彼にとっての〈天啓〉か。
bounce (C)北野 創
タワーレコード(vol.467(2022年10月25日発行号)掲載)