文句無しの最高傑作。現代No1のドラマー&クリエイターのマーク・ジュリアナが5年ぶりとなる自身のジャズ・カルテット作をUKのEditionsレーベルからリリース。
「Family First」(2015)、「Jersey」(2017)に続き5年ぶりとなるマーク・ジュリアナのジャズ・カルテット・アルバム3作目。これまでエレクトリック・ミュージックのBEAT MUSIC、ジャズ・サイドでの本カルテットと2つのプロジェクトを軸に、革新的なドラム・スタイルを表現。その過程で年々コンポジションに重点が置かれ、このアルバムではそのエレクトロニクス&アコースティックの作曲の全領域が、初めて統合され細密な小品のようにまとめられた作品。このプロジェクトは基本アコースティック演奏だが、随所にエレクトロニクスの手法が使われている。
従来の乾いた質感は維持しつつも、妻であるグレッチェ・パーラトと同様にマインドフルネスの影響を受けた作風も多く、まるでシンガー・ソングライターのインスト盤アルバムのようなテイストもある。「The sound of listening」のタイトルとアイデアは、ベトナムの禅僧・詩人ティク・ナット・ハンの著書『Silence』から引用したもので「世界を真剣に観察するために必要なインナー・サイレンス」とマーク自身は語っている。
マーク・ジュリアナはドラムスの他にシンセ、ドラム・プログラミングを担当。メンバーはお馴染みのクリス・モリッシー(b)、ジェイソン・リグビー(ts, b-cl, fl)、そしてピアノは前作のファビアン・アルマザンから再びシャイ・マエストロが参加、今回はピアノの他にメロトロンやローズも弾いている。
発売・販売元 提供資料(2022/10/28)
おそらく2023年の最も素晴らしいジャズ10枚に選ばれるであろう、革新的な"現在のメインストリーム・ジャズ"最前線作品。マークのハイセンスでビートを超えたリズムと、これまた、類まれなる時代に先行する感性を満載した。Jason Rigby (ts,他)、Shai Maestro (p)、Chris Morrissey (b)という、輝き続ける理性を漂わせた3人との出会いが、どこでも聴いたことのない新しい世界を紡ぎ出していく。シャイの冷静なピアノの音がジュリアナ劇場の幕を切って落とすように始まる(1)、後半部分の情念が爆発するソロに、メインストリームを追いかけてきた純正ジャズファンの心を溶かす(4)など、ジャズファン必聴の演奏をLPで!
intoxicate (C)瀧口譲司
タワーレコード(vol.162(2023年2月20日発行号)掲載)