シマノフスキ:ピアノ作品集

ピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンが同郷の作曲家シマノフスキの生誕140周年を記念した新作

昨年のベートーヴェン・プロジェクトに続き、ツィメルマンが自身の故郷ポーランドのルーツに戻り、今年生誕140周年を迎えるカロル・シマノフスキのピアノ曲を演奏。
今作は2022年6月、ツィメルマンの友人である豊田泰久氏が設計を手掛けた、広島県福山市のふくやま芸術文化ホールにて録音されました。さらに、1994年に録音され、これまでリリースされていなかった《仮面劇》が、初めて収録されています。
ツィメルマンはシマノフスキの本質を表すレパートリーを通して、シマノフスキを偉大なピアノ音楽の作曲家として位置づけることを目指しています。

シマノフスキについて
シマノフスキは1882年、ティモシュフカ(現ウクライナ)に生まれ、幼少期のほとんどをワルシャワで過ごし、当時のポーランド音楽界ではアウトサイダーのような存在であった。ウィーン、南欧、北アフリカ、アメリカなどを旅した後、独立したポーランドに戻り、自国の音楽的アイデンティティーの確立に力を注いだ。ワルシャワ音楽院院長、音楽院長を経て、ピアニストとしてツアーに出るが、健康を害し、1937年にわずか54歳で亡くなった。彼の音楽は、生前はポーランド国外でより高く評価されていたが、その後状況は逆転し、ワーグナー以後のロマン主義、中東の芸術や詩に触発されたオリエンタリズム、ドビュッシー、ラヴェル、スクリャービン、ストラヴィンスキー、そしてもちろんマズルカなどの作品に影響を与えたポーランドの伝統様式など、さまざまな影響を受けて生まれた彼の音楽は、最近ではその独自の声によって正しく国内でも認識されるようになった。
ユニバーサル・ミュージック/IMS

Pianist Krystian Zimerman has already done great service on recordings to composers from his native Poland, and he continues to do so with this fine selection of piano works by Karol Szymanowski. Szymanowski is best known, at least outside Poland, for works in larger forms, and Zimerman, moreover, does not include his three piano sonatas, which are probably his most familiar keyboard works. Thus most of the music here will be new to listeners, and they will experience it as a major find. Zimerman builds on a 1994 recording of the Masques, Op. 34, a truly remarkable transference of 19th century program music ideas into a more modern context. This is a bit jarring sonically, but one can understand why the pianist wanted to keep this razor-sharp performance. The work is surrounded by pieces from various phases of Szymanowskis career, beginning with excerpts from his Nine Preludes, Op. 1. These are in the Chopin mold but have a harmonic and structural exuberance that points to the work of the mature composer. The 20 Mazurkas, Op. 50, four of which are included here, approach Bartok in their ways of tying a modern concision to folk roots. The final Variations on a Folk Theme, Op. 10, reveal Szymanowskis talents as a pianist, and they are compelling in Zimermans hands. Szymanowskis music appears to be undergoing a major revival, and this fine release is sure to help it along. ~ James Manheim

「ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集」以来約1年振り。待望のクリスチャン・ツィメルマンの新作は、10月3日生誕140周年を迎えたシマノフスキのピアノ作品集。1980年にカヤ・ダンチョフスカとのアルバムでツィメルマンはシマノフスキの作品を録音しているが、ピアノ・ソロのリリースは勿論今回が初。故郷ポーランドへの想いがつまった力作。《9つの前奏曲》を始めその音楽は、実に神秘的かつ幻想的な世界を奏でている。ツィメルマンの息遣いが聴こえる程の集中された1音1音。広島県福山市のふくやま芸術文化ホールでの録音。
intoxicate (C)飛田陽海