ジョーイ・バーンズのソロ作、アイアン・アンド・ワインとのコラボ作、ロス・スーパー・セヴンやお馴染みニーコ・ケイス、フランソワーズ・ブルーの新作への参加など、近年のキャレキシコ周辺は話題が絶えないが、このニュー・アルバムはそうしたさまざまな課外活動による視野の広さが実を結んだ力作だ。2004年にリリースされた5曲入りのミニ・アルバム『Convict Pool』ではラヴやミニットメンのナンバーも取り上げていた彼ら。本作ではそうしたルーツも含めてジョーイとジョン・コンヴァーティノを中心としたメンバーのあらゆる素養が、無理なくひとつの器の中でポップスとして咀嚼された感がある。歌そのもので情緒的に聴かせる側面は確かに強まっているが、バンド・アンサンブルがこれまでになく軽妙かつ練られているのもいい。ジャイアント・サンドのリーダー＝ハウ・ゲルブの新作『'Sno Angel Like You』と併せてどうぞ。
bounce (C)岡村 詩野