フォーマット |
CD |
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構成数 |
2 |
国内/輸入 |
国内 |
パッケージ仕様 |
- |
発売日 |
2022年09月14日 |
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規格品番 |
PECF-1191 |
レーベル |
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SKU |
4544163462344 |
愛する犬たちも乗せて、七尾旅人、新たなる大航海のはじまり。
過去最大規模となるゲストプレイヤーたちとの生命感にあふれるやり取りで結実した「最も自分らしいレコード」。
少年時代からの念願だったというバンド& ストリングス・アレンジで産声をあげた、24 年目のマスターピース。
パンデミック、そして戦争、日々何かに揺さぶられ続ける世界の片隅で、耳を澄ませ、目を凝らし、あらゆる時空間を横断しながら映画的に紡がれる90分間の忘れがたいストーリー。
長い航海の果てに、あなたが見つけるものは?
90年代末の登場以来、トレンドと一定の距離を取りながら独自のオルタナティブ・ポップを生み出し続けてきた七尾旅人。当初は奇異な物として捉えられがちだった彼の音楽だが、過酷な時代と真摯に向き合おうとする印象的な創作の数々でやがて多くのフォロワーを生み出し、「七尾旅人以降」とも言える刺激的なインディペンデント・ミュージックシーンが広がり、この国のシンガーソングライターの佇まいは少しずつ変わっていった。
肉親の不慮の死をきっかけにレコーディングされた前作『Stray Dogs』のツアー終了直後から世界を覆ったパンデミック。いちはやく規制の対象となり、追い詰められていった音楽シーン。そんな2020 年からの2年間で書き溜められた楽曲を中心に、厳選された17曲が並ぶ今作『Long Voyage』のフィジカル版は、2枚組アルバムとしてリリースされる。過去にも『ヘヴンリィ・パンク:アダージョ』『911fantasia』『兵士A』といった2 枚組、3枚組規模のコンセプチュアルな大作を複数リリースし、アルバム・アーティストとして世界に類型がない新たな作品像を提示し続けてきた七尾だが、そんな試行錯誤の果てにある今作の、奇跡的ともいえる豊穣なポップネスはどうだろう。濃密な90 分があっというまに過ぎて行く。音楽の旅の過程で絆を深めた戦友たちとのストーリーは、七尾旅人新章と呼べる充実作となって結実した。
前作「Stray Dogs」ツアーで結成され、今作に至る大きなきっかけとなったストレイ・バンド(Kan Sano、小川翔、Shingo Suzuki、山本達久)は七尾のこれまでの歌の佇まいを損なわぬまま確かな手つきで精妙なバンド・アンサンブルを成立させた。さらに細井徳太郎、石若駿らジャズの次代を担う俊英たちとのもうひとつのバンド編成が生み出す自由闊達でフリーキーな躍動感。ショーロクラブ沢田穣治のコンダクトによる豊潤なストリングス、血を分けた家族のような親密なサウンドで歌に寄り添う梅津和時、石橋英子、瀬尾高志、Dorian。ミックスおよびマスタリングには、奥田泰次、キムケンと、七尾が最も信頼してきた、世代を超えたソウルメイトたちが並ぶ。(1/2)
誰もが岐路に立たされたこの時代に、嘘偽りない風景と共に、我々を優しく包み込む「未来のこと」、モータウンから脈々と受け継がれる名デュエット曲の最新型「ドンセイグッバイ」は大比良瑞希をパートナーに迎えた賛美歌のようなソウル・バラッド。Twitter で親しまれている愛犬たちとのユーモラスな日常から想像を越える世界へと誘われる「Dogs & Bread」など、いつの間にか口ずさんでしまう珠玉のポップソングたち。入国管理局における在留外国人の人権問題をテーマとした「入管の歌」、コロンブスの新大陸発見から、ジョージ・フロイド氏の悲痛な死に端を発するミネアポリス反人種差別デモまでを壮大なスケールで描き、社会構造のなかで虐げられる誰かの魂を鼓舞しようとする異色の料理ソング「ソウルフードを君と」、生音主体のトラック上、ギル・スコット・ヘロンやビズ・マーキーを思わせる七尾ならではの滋味あふれるスポークンワーズで、壊れかけた小さな家族の情景を描写して行く「Wonderful Life」など、これまでなかなか日本語の歌になりづらかったはずのトピックをひとつひとつ歌に変えて行く執念と情熱。そして、ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」のような永遠のスタンダードを想起せずにはいられない大名曲「if you justsmile(もし君が微笑んだら)」。
人類のアテンション・スパン(集中できる時間)が短くなり続けている現代、1曲1曲の消費されゆく速度が限りなく速まった時代の中で、今も愚直に人生のかすかな輝きを、隘路を、そして社会の片隅に生きる誰かの小さな叫びを美しいメロディに変えながら骨太な音楽作品を作り続ける七尾旅人は、忘れられた世界の魔法をわれわれに伝えようとするウィザードのひとりなのかもしれない。1秒先も見えない狂った季節のなかで、それぞれのハードな航海は続いていくが、現実生活の中では頼りないはずのもの――たとえば音楽や、見ず知らずの人々の間でふいに交わされる親愛の情が、ときに頼もしいコンパスや海図になり得ることを、このアルバムは語っているように思う。(2/2)
構成数 | 2枚
合計収録時間 | 01:30:44
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1.[CD]
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CD2枚組、全17曲90分の大作。パンデミックの世界を大局的な史観も交えて描いたドキュメンタリー映画のようであり、楽曲の主人公やその目線はあくまでも個人として描かれ、日記を読んでいるような感覚もある。この世の不条理に対する怒りや諦念も滲ませつつ、石橋英子をはじめとした長い付き合いの盟友たちと、Kan Sano、石若駿、大比良瑞希といった彼をリスペクトする若手ミュージシャンが多数集った本作に通底しているのは、あくまで慈しみの目線だ。ショーロクラブの沢田穣治が手掛けるストリングスが全体のムードを規定しつつ、その歌声はフォークの親密さとソウルやジャズ・ヴォーカルの気品を併せ持ち、スタンダード感のある"if you just smile(もし君が微笑んだら)"は特に素晴らしい。文句なく傑作。
bounce (C)金子厚武タワーレコード (vol.466(2022年9月25日発行号)掲載)
journeyでもtravelでもtripでもflightでもroadでもなく、voyage。旅人という名を持った歌い手が物語る、航海。
堅い陸地から切り離され、抗いがたい潮流に翻弄されながら続いてゆく(あるいは終わってゆく)航海について。
戦乱、疫病、貧困、虐待、差別、故郷喪失について。すなわち流転について。
航海のみならず、停泊について。本来なら動けたはずの時間に、錨を下ろしての静止を強いられる、そのあいだに大切なものを失い、奪われてゆくことについて。
確かなものから切り離され、酷たらしい歴史に翻弄されながら生きてゆく(あるいは殺されてゆく)無数のたよりない命が、世界から無視され、忘れ去られながら、そこに確かに在るということについて。
歌うよりほかに生きる術を持たないあまりにも無力な人間-「たびびと」が、それらのかけがえない他者の航海から目を逸らさず、懸命に、ひとつずつ物語る。
捧げものとしての音楽。そのさきの未来に、ささやかな幸を祈り、鎮魂を願う。その歌声は、時に哀傷や怒気を帯びながら、不思議なほど人なつこく、そして優しい。
喪われたものへの素晴らしいラブソング『ドンセイグッバイ』が終わり、傷つきながら生きるものたちへ語りかける『If you just smile』が始まる前の、一瞬の沈黙が好きだ。
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