「ポップ」の可能性に挑戦した実験性の高い最新作
「森は生きている」解散後、ソロ作品のリリース以外にも優河、前野健太、Taiko Super Kicksのプロデュース、never young beach、柴田聡子のバンドサポートなど広く活躍する岡田拓郎。今作品は石若駿(ds)との即興演奏を元にサム・ゲンデル、ジム・オルーク、Wilcoのネルス・クライン、カルロス・ニーニョ、細野晴臣など錚々たるメンツが手を加え2年費やし、じっくり作り上げられた集大成的内容であり、この時代を切り取った作品。ジョン・コルトレーン「A Love Supreme」から始まる実験性に富んだ内容は「ポップス」の可能性に挑んだ問題作。 (C)福岡パルコ店:寺本 将巳
タワーレコード(2022/09/16)
大好評を博した前作『Morning Sun』以来約2年ぶりとなる岡田拓郎の新作アルバムが発売決定。現代における「ポップソング」の可能性に真っ向から挑んでみせた傑作『MorningSun』(2020年)を経て、今岡田拓郎は、その「ポップソング」のあり方を形作っているメタ的な構造それ自体を検分し、ダイナミックに再生させようとしている。2年ぶりの新アルバムは、この間彼が取り組んできたそうした試みの集大成と呼ぶべき、圧倒的な作品だ。精密なエンジニアリングによって、各音はこれ以上無いほどつややかにトリートメントされ、各々の音の持つ特徴がかえって鋭く立ち上がってくる。同一の時間への収斂を執拗に避け、「別の時間」のありようを肯定するとき、新たな「ポップ」の姿がコミュニケーションの次元から立ち上がる。「ポップとは何か」を考え抜こうとする岡田の野心的な批評精神と音楽家としての強靭な身体性は、ついにこのような境地までたどり着いた。本作は、当代随一のポップエクスペリメンタリストである岡田拓郎が静かに提示する、尊く力強い問題提起だ。 (C)RS
JMD(2022/07/15)
「現代の風街」と称された森は生きているのデビューから、約10年。
現代に於いて「音楽的である」こととは一体何なのかと問い続けてきた岡田拓郎が2年の歳月をかけた最高峰のフルアルバム 『Betsu No Jikan』。
アンビエント・ジャズ、フリーインプロヴィゼーション、電子音響、ポップスであり、そのいずれでもないまだ名前のない音楽。
あまりにも早熟であり、成熟されたバンドであった、伝説のバンド「森は生きている」解散後、ソロ名義"岡田拓郎"としてアルバム『ノスタルジア』、『Morning Sun』をリリース。ソングライターとしての活動に留まらず、優河、前野健太、South Penguin他のプロデュースや、坂東裕太 feat. 塩塚モエカによるNHKドラマ「17歳の地図」主題歌『声よ』他のアレンジ、ROTH BART BARON、never young beach、柴田聡子などではバンドの骨格を担うプレイヤーとして躍動。現在の音楽シーンにおいて、間違いなくキーマンの1人として活躍する音楽家・岡田拓郎。
ロック・アルバム、ポップスとして、高い評価を受けた前作『Morning Sun』に続くニューアルバムは、コロナ禍の2年の歳月をかけて、植物に水をやるように育てられ、この稀代の音楽家の才能が満開となる作品となった。
石若駿、カルロス・ニーニョ、サム・ゲンデル、ジム・オルーク、ネルス・クライン (Wilco)、マーティ・ホロベック、細野晴臣ら、国内外のアーティストが参加。それらアーティストの即興演奏をテオ・マセロ、ジム・オルーク、トータスらを現代的に解釈した編集術で、己も予想し得ない音楽へと昇華していく。石若駿、サム・ゲンデルが参加した、コルトレーン「A Love Supreme」の驚愕カバーも必聴。
発売・販売元 提供資料(2022/07/08)
さまざまなプロジェクトにギタリストとして貢献する音楽家/コンポーザーの新作。サム・ゲンデル、カルロス・ニーニョ、細野晴臣といった才人たちを招いた本作では、優美かつ幽玄な音が聴き手を〈別の時間〉へと誘う。即興演奏と編集を何度も繰り返しながら構築されたサウンドは、その隅々まで位相や重なり方を考え抜かれているようでいて、ある種の定型を拒み続けるかのような野蛮さが何よりの魅力となっている。
bounce (C)田中亮太
タワーレコード(vol.465(2022年8月25日発行号)掲載)