オーストラリアのシンガーソングライター、ステラ・ドネリーのニュー・アルバムが完成。3年半振りとなるセカンド・アルバム『フラッド』リリース。
オーストラリアのミュージシャン、Stella Donnellyは2022年8月26日、Secretly Canadianよりセカンド・アルバム『Flood』をリリースする。2019年の『Beware of the Dogs』に続く『Flood』は、Donnellyの再発見の記録であり、数ヶ月にわたる危険な試み、自己反省、そして多くの変遷の産物である。ジャケットのBanded Stilt(ムネアカセイタカシギ)のように、Donnellyは未知の領域に足を踏み入れ、アーティストとしての自分、そして一個人がどれほど豊かな存在になれるかを学んでいるのである。Donnellyは、アルバム制作中に暮らした多くの都市のひとつであるオーストラリアのベリンゲンの熱帯雨林で、バードウォッチングをした。「自分に対する誰かの反応という感覚をなくすことができた。自分がミュージシャンであることを忘れ、ただ存在するちっぽけな存在であることを体感できた」と彼女は語る。ちっぽけな存在であることを再確認し、Donnellyは自分でも知らなかった新たな創造的な井戸を掘り起こすことができた。彼女はベリンゲンを出て国内各地を移動しながら43曲を書き上げた。
「見知らぬ土地で曲を作ることが多かった。フリーマントル、ウィリアムズ、ギルディントン、マーガレットリバー、メルボルンと回ったが、どこにいるかわからないことがよくあった。国境が閉鎖され、家族と連絡が取れなくなることで、自分の人生の大切な部分にフォーカスしてしまうことは否定できない」と彼女は振り返る。新たなロケーションでの曲作りは、新たなアプローチも生み出した。バンド・メンバーのJennifer Aslett、George Foster、Jack Gaby、Marcel Tussieとの曲作りは、時に幼稚園での実験的な遊びのようにも感じられた。また、共同プロデューサーのAnna LavertyとJake Webb(Methyl Ethyl)は、スタジオでの無理のない自然さを演出した。Donnellyは、これまでのようにエレキ・ギターで曲を書くことから離れ、ピアノを使用し、アルバムがもつ内省的な流動性と脆弱性を作品に吹き込んだ。「群れの中で見ると錯覚を引き起こすが、単体で見ると特異なアート作品になる」とDonnellyはBanded Stilt(ムネアカセイタカシギ)を評する。『Flood』の各曲はそれ自体が1つのアートだが、その集合体はStella Donnellyのすべてを豊かに共有している。自分のインナー・チャイルド、自己の育成、自身の悪夢・・・、洗いざらいの彼女がこの作品には注ぎ込まれている。彼女が感じるすべてを理解するには海が必要だ。しかし、飛び込む価値は十分にある。
発売・販売元 提供資料(2022/08/16)
オーストラリアのシンガーソングライター、ステラ・ドネリーのニュー・アルバムが完成。3年半振りとなるセカンド・アルバム。 (C)RS
JMD(2022/06/17)
世界を変えようという意思を感じさせるメッセージと共に台頭してきた新しい女性シンガー・ソングライターのムーヴメントの一翼を担ったブレイクから3年半。オーストラリア出身のステラ・ドネリーが、このセカンド・アルバムでめざしたのは、みずからの音楽の深化だ。ネオアコとホーンの導入を基本のアイデアとして、いかに楽曲に振り幅をつけるか。そんなテーマの成果と言えるのが、ボサノヴァとオールディーズなポップ感覚が見事に溶け合う"Medals"と、ジャジーなムードがメランコリーの中にアダルトな魅力を醸し出した"Oh My My My"。オープニングとエンディングを飾るダンサブルでキャッチーなポップ・ナンバーよりも、その2曲のふくよかな味わいこそが、このアルバムの聴きどころだ。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.465(2022年8月25日発行号)掲載)