チアゴ・アムヂ、ヴォヴォ・ベベとならぶ現代ブラジル音楽の知性とも言うべきシンガー・ソングライター、シルヴィオ・フラガの待望となるニューアルバム。ブラジル音楽の伝統を、室内楽とカンドンブレ、ジャズが調和する革新的なサウンドで更新した、あまりに衝撃的な一枚!
1986年リオデジャネイロ生まれの詩人兼シンガー・ソングライター、シルヴィオ・フラガ。幼少のころよりブラジルとアメリカの間を行き来する生活を送る。13歳からはリオを拠点に経済学の博士号を取得。卒業後ニテロイの美術館の再建に携わったのち、再びNYへ赴きそこで詩を学び、今はまたリオを中心にブラジルで精力的な活動を続けている。そんなシルヴィオが仲間たちと共にローンチしたレーベル兼スタジオがホシナンチ(ROCINANTE)である。ジョアン・ドナート&ジャルズ・マカレー、ネルソン・アンジェロ、レチエレス・レイチといった巨匠から、チアゴ・アムヂ、イレッシといった気鋭のシンガー・ソングライター、ベルナルド・ハモス、マルセロ・ガルテールといった器楽奏者の作品に至るまで、そのカタログはどれもブラジル音楽の王道とも言うべき系譜を継承すると同時に野心的な試みに溢れており、にわかに今最も注目すべきレーベルとして認知されるようになってきた。そんなホシナンチからリリースされるシルヴィオ自身の最新作が本作だ。
シルヴィオ・フラーガのギター以下、マルセロ・ガルテールのピアノ、ベルナルド・ハモスのギター、ブルーノ・アギラールのベース、フェリペ・コンチネンチーノのドラムス、そしてルイジーニョ・ド・ジェージ、ヘイナルド・ボアヴェントゥーラ(ともにアタバキ)というバイーア、リオ、ミナスの気鋭ミュージシャン達を核に、マルロン・セッチ(トロンボーン)やアルベルト・コンチネンチーノ(ベース)、ドゥルヴァル・ペレイラ(ザブンバ)といったスペシャリストが要所で参加し、室内楽とカンドンブレ、ジャズが融合したような、オリジナリティあふれるサウンドが実現。レコーディングはホシナンチのスタジオにおいて全てライブ録音されたこともあり、サウンドは極めて生々しく、まるで目の前でアンサンブルが紡がれているかのような興奮がある。もちろんシルヴィオの本領と言うべき歌詞にも注目だ。海から一滴一滴を抽出したかのような歌詞は示唆に富み、またポルトガル語詞に適応する独特のメロディ・ラインもブラジル音楽ならではと言えるだろう。
ドリヴァル・カイミ、カエターノ・ヴェローゾ、シコ・ブアルキ、はたまたギンガ&アルヂール・ブランキといったブラジルの歌の系譜を継承しつつ、室内楽やジャズ、カンドンブレでアップデートしたあまりに衝撃的な一枚。これは間違いなく今年のブラジルを代表する一枚となるだろう。
発売・販売元 提供資料(2022/05/02)
幼少のころよりブラジルとアメリカを行き来する生活を送り、リオでは経済学の博士号を取得、NYでは詩を学ぶなど、何ともインテリなシンガー・ソングライター。ライヴ録音によって制作された本作は、ブラジル音楽の王道を感じさせるメロディのM1、ジャズ・アンサンブルのような演奏をバックに伸びのあるヴォーカルを聴かせるM2など、シンプルながらも緻密なアンサンブルによってとてもカラフルなサウンドに仕上がっている。ヴォーカルをフィーチャーしつつ各楽器の響きも心地よく聴かせる録音状態も素晴らしく、このアルバムの魅力の一つとなっている。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.158(2022年6月20日発行号)掲載)