当代随一の若手ギタリスト、ギラッド・ヘクセルマンのニューアルバムが登場
シャイ・マエストロ、エリック・ハーランドら、ゲストも超豪華
宇宙を彷彿させる浮遊感に満ちた電子音と蕩けるような極彩色のギターが印象的
イスラエル出身でニューヨークを拠点に活動するギラッド・ヘクセルマンは、独特でプログレッシブなサウンドが持ち味。18年以上ニューヨークを拠点に活動する彼は、その卓越した技術と先進的でありながら時代を超えたユニークなサウンドでその存在感を増している。フランスHarmonia Mundi 系のレーベル(Le Chant du Monde / Jazz Village)からや、自らのレーベルHexophonic Musicを立上げるなどして、リリース活動も旺盛。
本作はイギリスのEDITION RECORDSからの第一作目で、テルアビブ、ニューヨーク、フランスにて録音が行われた。気心の知れたシャイ・マエストロやエリック・ハーランドを始め、ジヴ・ラヴィッツ、アミール・ブレスラー、ノモックなど豪華ゲストを迎え、パンデミックによって引き起こされた予想外のプロセスへの適応は、結果としてより冒険的なサウンドへと結実。新たなアプローチにより、大胆さとシンプルさ、プログレッシブでありながら親しみやすい、モダンなアルバムとなった。
ギラッドは語る。「2020年の初め、東南アジアでの3ヶ月間の家族旅行から戻り、人々と演奏できるように新しい音楽を山ほど用意した。しかし、パンデミックに見舞われ、突然、この音楽を実現するために残されたのは、楽器とマイクとコンピューターだけだった。この状況がいつまで続くか分からないので、パソコンに「Song Demos」というフォルダを作り、新しいレコードを作る際にはすぐにそのトラックを自分のバンドに送ることがきるようにした。そのまま数ヶ月が過ぎ、何百ものビデオを見、チュートリアルやサウンドエンジニアリングのレッスンを受け、友人のプロデューサーに相談した。何千時間もの作業の後、私はこの作品を完成させた。」「部屋の中からパンデミック中に制作されたこの音楽は、なぜか私に大きな自由と解放の思い出を残してくれた」
口笛から始まるM1、シャイ・マエストロとエリック・ハーランドが参加した電子音が飛び交う最先端ジャズM2、8ビート調のグルーヴィーなM7など、いずれも独特なサウンドがズラリ。どこか宇宙を彷彿させる浮遊感に満ちた電子音と、蕩けるような極彩色のギターが印象的だ。
国内盤は石沢功治氏による解説付き。
発売・販売元 提供資料(2023/08/31)
挾間美帆の2019年作品をリリースした英EDITION RECORDSからリリース。パンデミックの中制作された本作は、先鋭性を感じさせつつもどこか普遍的な魅力も併せ持つ。人と一緒に演奏することが困難な中、数千もの時間を費やし数々の難題を乗り越えていった様が音に刻み込まれているかのようだ。口笛から始まるM1での独特な浮遊感を感じさせるギター、シャイ・マエストロ(keys)とエリック・ハーランド(drums)が参加したM2での、エレクトロニクスを駆使した先鋭的なサウンドとジャズ・ロック的でエキサイティングなインタープレイが特に耳を打つ。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.158(2022年6月20日発行号)掲載)