元クラクソンズのジェイムズ・ライトンのDeeweeレーベルからのソロ第二作。ソウルワックスのディワーラ兄弟がプロデュース、アバのベニー・アンデションがゲスト参加。パンデミックのさなかに作られた、前作とはまったく趣きを異にしたパーソナルな作品。
2000年代なかば以降のイギリスの音楽シーンをけん引してきた人気バンド、クラクソンズ、そのフロント・パーソン/キーボード奏者であるジェイムズ・ライトンによる、ソウルワックス主宰レーベルDeeweeからの2枚目のソロ・アルバム。
ジェイムズは2020年、パンデミックによる最初のロックダウンのさなかにこの新作の着想を得た。当時はまだ前作『The Performer』が出たばかりのころ。ジェイムズは、そのプロモのためのライヴ配信に取り組むうちに、画面の中に佇むもうひとりのジェイムズ=ジムの存在に気付く。リアルな接続から切り離された常ならざる新世界の中で、ジムとの孤独な対話を続け、さらにはソウルワックスのふたりともリモートで作業し、ジェイムズはこの『Jim, I'm Still Here』を完成させた。コンピ『DeeweeFoundations』収録の遅いエレクトロ「Release Party」、最新シングルのアップなファンク・ナンバー「Pause」(ジュリアン・クリンスウィックスがビデオをディレクション)、メロウなDIY脱力ソウルの「A Day AtThe Races」、トロピカルな「Lover Boy」、アバのベニー・アンデションをフィーチャーした「Empty Rooms」ほか、全12曲。
クラクソンズで世界を席巻、アバのバック・バンドにも抜擢され、といった華やかなキャリアからは想像もつかないようなパーソナルなムードを持った、キャリア屈指の異色作。
発売・販売元 提供資料(2022/04/14)
元クラクソンズのフロント・パーソンによる2作目。前作のヨット・ロック的な要素を残しつつ、今作はソウルワックスのディワーラ兄弟がプロデュースを手掛けたこともあり、全体的にダンサブルな仕上がりになっている。心地良いミディアムテンポのグルーヴと、センチメンタルなヴォーカル、シンセの音がクセになる新境地の作品と言っていいだろう。親交のあるアバのベニー・アンデションの参加も大注目だ。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.464(2022年7月25日発行号)掲載)