二人が仕掛けた音楽の遊び
ダヴィッド・ヘルボック&カミーユ・ベルトー「Playground」
欧州で活躍するジャズ・ミュージシャンの中で最も才能に溢れた二人によるアルバム「Playground」。オーストリア出身のダヴィッド・ヘルボック(David Helbock)はすでにACTから4枚のCDをリリースしており、優れたジャズ・ピアニストとして世界の注目を集めています。そしてフランスの新星カミーユ・ベルトー(Camille Bertault)は、FacebookとYouTubeに投稿したコルトレーンの「Giant Steps」の動画で話題となり、Sunnysideから「En Vie」(SSC1438)でデビューした経歴を持つ話題のジャズ・シンガーです。
二人は、音楽祭やジャズ・フェスティヴァルで共演を重ねお互いの音楽的才能を認め合ってきました。アルバムタイトルの「Playground」=(遊び場)は、二人の才能と技術とアイディアが縦横無尽に飛び交い、デュオとしての可能性を遊びつくしたような内容となっています。
アルバムの幕開けを飾る「Frevo」は、エグベルト・ジスモンチのナンバー。エフェクトやサンプリングなど、知的な遊び心溢れる二人のアルバムらしい楽曲です。ベルトーのスキャットが秀逸な「Lonely Supamen」。映画「Dancer in the Dark」からBjorkのナンバーをオーバーダブを多用し壮大に作り込んだ楽曲「New World」。そしてラストは、ブラジルの作曲家エルメート・パスコアールへのオマージュとしてヘルボックが書いた「Para Hermeto」。と最高の"遊び場"を提供してくれる1枚です。
国内仕様盤のライナーは、ギタリスト・作曲家の森下周央彌氏が担当しています。
発売・販売元 提供資料(2023/08/29)
e.s.t.の諸作をリリースしてきたドイツの重要レーベル、〈ACT〉から独創的なピアノ&ヴォーカルのデュオ作がリリース。コルトレーンの《Giant Steps》のソロをスキャットで歌った自撮り動画が話題となり、デビューに至ったという経歴をもつシンガー、カミーユ・ベルトーの遊び心溢れる歌唱と、インテリジェンスが垣間見えるピアノ。エグベルト・ジスモンチのカヴァーM1や、エルメート・パスコアールにインスパイアされたM12など、南米のジャズへのルーツを表現しつつ、ありきたりなピアノとヴォーカルのデュオというフォーマットの新たな可能性を感じさせる一枚。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.159(2022年8月20日発行号)掲載)